「よう実」こと「ようこそ実力至上主義の教室へ」の2年生編7巻のネタバレ・感想をしていきます。
2学期のメインイベントである文化祭がついにスタート!長谷部の復讐や南雲との戦い、そして新たに現れた綾小路の刺客など色々と問題が残る中、綾小路はどう動いていくのでしょうか?
今記事では、「よう実2年生編7巻」の文化祭編についてネタバレ有りで感想と解説をしていきます。なのでまだ原作を読んでいない人は注意して下さい。
前巻6巻のネタバレ⇒2年生編6巻ネタバレ・感想!
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【よう実】2年生編7巻ネタバレ・感想!
ここからは「ようこそ実力至上主義の教室へ」2年生編7巻のネタバレをしていきます。
かなり衝撃的な展開となっているので、ネタバレが嫌な方は読むのをおすすめしません。
それでも良い方のみ読み進めてみて下さい。
文化祭に向けて
11月1日、あと2か月で冬休みに突入する中、クラスは次の文化祭の準備に取り掛かっています。
文化祭では、各クラスの出し物の売上を競うものとなっており、堀北のクラスは『メイド喫茶』をやる予定となっています。
文化祭の概要
・お客さんは学校へ来る来賓の方で、学校の運営に関わっている人、ケヤキモールなどで働いている社会人とその家族が招待される
・来賓する成人には1万プライベートポイント、子供には5000ポイントが支給され、成人が283名・未成年が202名招待される予定です。
・教師も担当する学年ではポイントは使えないという縛りはありますが、その他の来賓と扱いは変わらない立ち位置にいる。
各クラスの報酬・1位~4位 クラスポイント100
・5位~8位 クラスポイント50
・9位~12位 クラスポイントに変動はなし
またクラスの出し物に関しては、文化祭のみで使用できるプライベートが各クラスに振り分けられ、生徒一人当たり5000プライベートポイントが使って準備を行います。
長谷部と明人
綾小路、堀北、佐藤、松下、みーちゃん、前園のメンバーは『メイド喫茶』の主要メンバーとなっており、秘密裏に準備を進めていました。
ただ長谷部と明人の二人に関しては、毎日学校には来ているもの文化祭の準備は一切手伝わず、また誰とも話そうとせず日々を送っています。
堀北はクラスメイトから長谷部の質問を受けるも、特に迷惑をかけられているわけではないので、何か対策するわけではなく、そのまま見守ることにします。
「文化祭で、彼女が何かする可能性は否定しきれない」
堀北はそう呟き、二人に関しては細心の注意を払うことを決めます。
長谷部の復讐はどうなるのでしょうか…
出店場所
メイド喫茶の主要メンバーは、出店する場所を決めるために特別棟の見学に来ていました。
3階建てとなっている特別棟の中で出店できる出店可能教室は8つで、借りる階層によって1万~5万ポイントの差があります。
どこの階層を借りるか話し合いが行われている中、佐藤だけは何か考えているようで心あらずといった状態です。
「最近ずっとあんな感じなんだよね佐藤さん」
松下が心配そうに綾小路に声をかけるも、とりあえずは様子見という事で話し合いは進みます。
そして多数決の結果、少し借りるのにコストは掛かるも1階の教室で『メイド喫茶』をすることが決まります。
佐藤は前回の1年生との接触で何かありそうですね…
龍園の裏切り
「おい、俺たちのクラスがメイド喫茶やるって本当なのかよ?」
教室に飛びんできた池は、開口一番に叫びながら姿を見せます。
『メイド喫茶』をやることに関しては、主要メンバー以外には話しておらず、他のクラスはもちろんクラスメイトにも話していません。
ですが池は、『メイド喫茶』をやることが校内で噂になっていると堀北に話します。
すると今度は教室のドアが開けられ、そこに龍園が現れました。
龍園のクラスとは、体育祭で協力関係を結んでおり、今回の文化祭でも、出し物が被らせない、出店場所の共有、必要に応じて生徒を貸し借りし、フォローできるようにすることを決めていました。
「あなたは最初から裏切るつもりだったのね。だけど今日までそれを隠しいたのは出店場所を聞き出すのを待っていたから、ということね」
「そういうことだ。悪いが、協力する契約は白紙にさせてもらうぜ」
そして龍園は堀北クラスが『メイド喫茶』をやることを周囲にバラし、さらには龍園クラスも堀北クラスと同じ『コンセプトカフェ』の出し物をすると言い、さらには龍園はここで堀北に対して、勝負の提案をしてきます。
「1ポイントでも多く稼いだ方が相手クラスから500万ポイントを頂く。面白い勝負になると思わなねぇか?」
これに対し、もちろん堀北は断りますが、ここまでやられた堀北はその提案を善処するという事でこの場を収めます。
さすが龍園!いつも何かしらやらかしてくれますね!
南雲の文化祭
南雲率いる3年Aクラスは、体育館という大きなスペースを貸し切って、『お化け屋敷』と『迷路』を融合させた出し物をすることを公開します。
ただこれは南雲主導ではなく、クラスの総意としてやりたいことをやらせているようでした。3年Aクラスは既に潤沢なクラスポイントを保有しているため、南雲は既に勝つことに興味はなく、好きなことをやらせているといった印象です。
さらには事前にプレオープンもして一般の生徒に解放もしていました。
そして綾小路は調査も兼ねてそこ参加することにします。
朝比奈との接触
『お化け屋敷』に入った綾小路は、お化けの存在を無視して辺りを注意深く観察をします。
すると、「わあ、あああああっ!?」と悲鳴が聞こえ、綾小路がそこに向かうと、3年Aクラスの朝比奈なずなが足を挫いて転んでいました。
自力で立つことも困難な朝比奈に綾小路は肩を貸し、その後は保健室へと向かいます。
「ありがと、ね」
朝比奈は綾小路にお礼を言い、治療も終わった綾小路はそろそろ立ち去ろうとすると朝比奈から声をかけられます。
『メイド喫茶』をやるという情報漏洩に関して朝比奈ツッコまれ、綾小路と朝比奈は少し文化祭について話をしました。そして話は南雲のことになり、
「あいつは一番が好きだから。だからこの学校でも一番になるために戦ってきた。結局生徒会長まで昇りつめるんだから、まさに有言実行ってヤツだね」
「ただ、南雲という人間が一番であるかどうかと聞かれれば、オレは否定します」
南雲という人間に対して朝比奈は評価していましたが、綾小路は『対戦相手に恵まれたから』と南雲についての見解を話します。
「彼の最大の不幸は、同学年に自分と同等以上、かつ競い合ってくれる人間がいなかったことではないでしょうか?」
「好敵手…ライバルがいなかったってことね?」
決して南雲が弱いというわけではなく、格下とばかり戦ってきたことで、労せずに一番を取り続け、独走状態へとなってしまった。そして一通り走り終えたところで振り返っても、誰も追いかけてこない。そしてそれが南雲をここまで歪ませてしまった原因と綾小路は判断しました。
そして今回の文化祭で伝わってくる南雲の様子。
綾小路に対して好奇心が薄れたというわけではなく、南雲は今後綾小路やそれ以外に対して何かをしでかすと綾小路は予想します。
「少しだけ南雲生徒会長に興味が出てきましたよ」
「今の話を聞いて?」
そして朝比奈は「やっぱり君って変わっているよね」と言い、南雲がなぜ綾小路に興味を持っているのかを察します。
久しぶりに朝比奈が登場しましたね!南雲と長く一緒に居ただけに南雲のことをよく分かっている感じでした。
南雲と綾小路の対決
週末の金曜日、綾小路は南雲に会うために生徒会へと向かっていました。
「なずながどうしても時間を取ってくれと言うから待ってみれば、訪ね人がお前だったとは思わなかったぜ。生徒会へ何か用か?」
「いえ。生徒会へ用はありません。南雲生徒会長個人に話があってきました。」
体育祭で逃げた綾小路を南雲は許しておらず、対話を拒否しようとしますが、綾小路からの頼みで話しを聞くことを許します。
「とりあえず、要件を聞こうか?」
「オレの望みは南雲生徒会長との対話です」
その答えに対して南雲は「言っている意味が分からない」と答え、綾小路も「オレも少し自分の行動に驚いています」と言い、そして「心境の変化があった」と伝えます。
「南雲生徒会長に提案があります。今度はオレから生徒会長へ勝負の提案をさせてもらえないでしょうか」
今まで戦いを避けてきた綾小路に対して、南雲は「気に入らないな」と答え、素直にイエスとは言えないと言います。
ですがここで綾小路は、「今から話すことを聞いて、考えて下さい」と南雲に対決の方法を伝えます。
「100%万全な勝負ができるかは分かりませんが、現実味は帯びたと思います」
「確かにそうだな。だが本当にお前の言うプランが実行できるとでも?」
綾小路はさらに説得を試みて、南雲との戦いの提案をしていきます。
そして南雲は綾小路からの提案を受けてやってもいいと言いますが、その本心を綾小路に問います。
それに対して綾小路は、半分は南雲に興味があり、もう一つは南雲にあることを頼みたいことがあるからと言います。
「ふざけたヤツだ。勝負をしたいと申し込んだ癖に、図々しいにもほどがあるぜ」
「否定はしません」
そして綾小路は、最後に「もし断ったらもう2度と南雲生徒会長と戦うことはない。仮にクラスメイトや軽井沢を人質に取るようなことをしても徹底的に無視をする」と念を押します。
「おまえとやりたきゃ今の提案を呑むしかないわけか」
そして南雲は考えた末、
「いいぜ。おまえの口車に乗ってやるよ綾小路。どうせ俺のAクラス卒業は揺るがない。最後にお前と遊んで終わるのも悪くない」
南雲は自分が負けるとは微塵も思っていないような感じで答えました。
そして綾小路が生徒会室を出ようとすると、最後に南雲が綾小路に問いかけます。
「お前がポーカーフェイスなのは認める。俺を引きずり出すために強気の交渉をしたことも分かってやる。だから一度だけ本心を聞かせろ。本気で軽井沢の退学に乗り出したとしても、お前は傍観していたのか?」
この質問に対し綾小路は「虚勢を張っただけ」と答えようとしますが、それは最善の答えではない気がし本心で答えます。
「消えたら消えたでそれまでの存在。それ以上でもそれ以下でもありません。むしろ後始末が楽になって助かりますよ」
「…頭のネジが吹っ飛んでやがるな」
この答えに対し、南雲は初めて動揺をしました。
遂に今度は南雲VS綾小路が行われそうです!
一之瀬クラスの今後
11月8日の放課後、綾小路はある人物を呼び出していました。
「俺に何か用か?」
指定した場所に先に待っていたのは、一之瀬クラスの神崎です。
そして綾小路は一之瀬クラスの今後について神崎に話します。
「今後?一体どういう…まあそれはいい。先に俺からも話をさせてくれ」
綾小路が要件を伝える前に、神崎は現在の一之瀬のクラスのことを話していきます。
- このままだと一之瀬クラスは勝ち上がることは出来ない
- 自分自身の身の振り方に迷っている
神崎はこの悩みを誰にも相談せずに悩んでいました。
そして綾小路に「今後自分たちのクラスはどうしたらいいのか?」と綾小路にアドバイスを求めます。
そしてなぜこんなことを他クラスの綾小路に頼んだのかというと、
「一之瀬はお前に傾倒している。唯一、一之瀬の方針を変えられるとしたらそんな特異な存在だけだ。そんな風に一直線でしか見られないようになっていた」
それに対し綾小路は「なるほどな」と納得はするも、一之瀬を変えられる存在はオレ以外に存在すると神崎に伝えます。
「実は今日、神崎に声をかけた後に一人、ここに呼び出してた生徒がいる」
と、その後そこに現れたのは一之瀬クラスの姫野でした。
「あれ、なんで神崎君もいるの?」
姫野は事前に神崎が居ることを聞かされていなかったらしく、少し驚きます。
「本題に入ろうか。今日、オレが神崎を呼び出した理由を話す。オレの手で一之瀬が変わる必要はない。代わる必要があるのはクラスの意識だ。クラスの意識が変わることで一之瀬に変化をもたらすことが出来る」
それに対して神崎は「無駄なことだ」と否定しますが、綾小路は人数を増やしていけばそうはならないと伝えます。
そして神崎の他の第一人者として姫野を神崎に紹介します。
「わ、私?」
姫野は動揺するも、綾小路は姫野のことを一之瀬クラスの中では疑問を感じている一人であると神崎に伝えます。ですが、
「答えないでも分かるでしょ。私たちのクラスには強い同調圧力しかない。私が白だと思っても多数が黒だと言えば黒になる。正しいか正しくないかは関係ない。だから私はこれまで何も言ってこなかったし、これからも言うつもりはない」
それに対し神崎は、
「俺は、いつまでも一之瀬と共に今のクラスと沈むつもりはない」
と、これまで話してこなかった想いを話します。このまま何もしないのであれば、何らかの手段を使ってクラスを裏切り、クラス移動することを姫野に伝えます。
「―――――本気でクラスを変えるつもり?」
神崎は綾小路の言ったことは喜ばしくないが正しいと認め、自分たちの手で一之瀬を変えていくことが、クラスを救う道に繋がると言います。
「でも今のままじゃ、どう考えたってできっこない!できっこないんだって!神崎君だってそれが分かってるでしょ!」
「分かってるさ!!分かってるからこそ、今やるしかないんだ!!俺は他のクラスに負けたくはない!!」
二人の会話を聞いていた綾小路は、二人に対して「本当の意味で仲間になる時が来たんだ」と伝えます。
そして、徐々に人数を増やしていき、一之瀬を変えていくように仕向けます。
「まだ遅くない。強くなれ。そして学年末試験で堀北率いるクラスを倒してみせろ」
そして神崎と姫野の二人は、前を向いて歩きだします。
「綾小路、この借りは学年末試験で返させてもらう」
そう神崎は言い、姫野と二人で仲間を増やしに行きます。
これからの一之瀬クラスに期待ですね。神崎と姫野には頑張ってほしい!
一通にラブレター
11月9日放課後、堀北は生徒会室へ行く前に同じクラスの女子である市橋から1通のラブレターを渡されます。
「あ、えっとね?私から堀北さんとかじゃないよ。実は…南雲生徒会長に渡して欲しいってある友達に頼まれたんだよね」
「生徒会長に?でもそれは直接渡すべきものじゃないの?」
「緊張して渡せないからって頼まれちゃったの。でも私だって生徒会長に直々に手渡す勇気は無いって言うか…当事者ってわけでもないしさ」
状況を理解した堀北は、確かに同じ生徒会に所属している者だったら渡しやすいと思い承諾をします。
ただ市橋は、そのラブレターには問題があり、差出人の名前が書かれていないと堀北に伝えます。
「それはちょと引き受け辛いわね…もちろん渡す時に説明はするけれど、下手をすれば私からの手紙と勘違いされかねないわ」
「じゃ、じゃあ他の人に頼めない?生徒会の知り合いの男子とか…ダメ?なんとか今日渡してもらいたいの」
堀北はやれるだけやってみると伝え、承諾をします。
生徒会での一件
ラブレターを渡すことになった堀北は、生徒会での会議を終えた後、生徒会メンバーの男子である八神にラブレターを渡すように頼みます。
「念のため伝えておくけれど、私からじゃないわよ」
「そうなんですね。僕はてっきり、堀北先輩からのラブレターかと…。もしくはそういうことにして渡せばいいんですか?」
堀北は八神に事の経緯を伝え、相手が匿名で渡そうとしていることも伝えます。
「ある人から手紙を預かったと、多少マイルドにしておきますね」
素直に引き受けてくれた八神に堀北は感謝を伝えると、
「それにしても、この時代に手書きで議事録なんて書記も大変ね」
「伝統も大切ですよ。この学校設立以来、議事録はずっとファイルとして残しているようですし。いきなりデジタルに移行しても違和感が生まれます」
そして堀北は生徒会の書記として八神が書いていた議事録を見て、なにか違和感を覚えます。
それは無人島試験で、堀北に渡してきた手紙の文字とそっくりだったことです。
「堀北先輩?」
そして堀北は何も悟られないようにする為、逃げるように生徒会室から出ようとします。
「それじゃあ申し訳ないけれど生徒会長への手紙の件、よろしくね」
堀北はゆっくりとドアを閉め、生徒会室を後にします。
堀北がついに八神の正体に気付きそうですね!
文化祭前日~他クラスの出し物~
堀北クラスは、明日の文化祭に向けて最終調整をしていました。高円寺と長谷部、明人の3人を除く35名で準備を進めていきます。
また前日は文化祭のプレオープンという事もあり、本来、生徒は参加できないクラスの出し物に参加出来るようにもなっています。
そして綾小路は軽井沢と偵察も兼ねて、他クラスの情報を見に行きます。
龍園のクラスは、特別棟2階で『和風』を取り入れたコンセプトカフェ。
坂柳クラスは3階の特別棟を全て貸し切って準備を進めていましが『2年Aクラスの出し物はトラブルが発生したため、本日は行われません』とあり、中の様子を見ることは出来ませんでした。
また1年Bクラスは『射的』をやっており、1年Dクラスは『遊戯』といった輪投げなどの屋台をしていました。
文化祭本番
長い準備期間を経て、ついに文化祭がスタートします。
当日は特別に早朝6時から準備することが可能となっているので、綾小路と堀北は早めに来て事前の最終確認を行うことになっていました。
「松下さんからの連絡は見た?」
「確認した。ここまでメイド喫茶を牽引してきた立役者だけに、辛いだろうな」
実は当日の朝、松下は体調不良によって参加できないという連絡が入っていました。また長谷部と明人は相変わらず準備に参加していません。
ですが堀北は気持ちを切り替えて、欠けた要因をどこで補填するかを考え事前の準備に取り組みます。
そして佐藤などの主要メンバーたちとの打ち合わせも終わり、ついに文化祭がスタートしました。
前日のリハーサルもあり、『メイド喫茶』の運営は順調に進み、綾小路はメイドとの写真撮影を担当していました。そして途中、綾小路はメニューであるダージリンが切れたので「大好評につき完売」を入口のメニューに貼るために外へ出た所、
「振り向かずに受け取れ」
と、後ろからスーツ姿の来賓が綾小路に二つ折りの白い紙を渡します。
綾小路は紙を受け取ると、すぐにその男は視界から消えていきます。
そしてその紙には、
『迎えに来た。どうするかは自分自身で決めろ。正門で待つ』
と、電話番号まで添えられた紙を確認し、綾小路は気にするだけ無駄と判断し、その紙を口に中に小さく丸めて飲み込みます。
証拠を残さないにしても、飲み込む発想はなかった…!
龍園の作戦
文化祭が始まって3時間。ここで龍園のクラスが動きます!
偵察に出ていた池からの報告で、玄関近くまで足を運んでみると、
「私たち2年Cクラスは、今2年Bクラスとコンセプトカフェで売り上げを競い合っています!私たちが負けてしまうと、誰かが責任を負わされて退学するかもしれません」
悲痛な表情と声で大勢の来賓の方にコンセプトカフェ同士で勝負していることを話し、「どうか協力できないでしょうか?」とチラシを配っていました。
それを見た綾小路は「こちらも似たような戦略で応戦するだけだ」と言い、事前に用意していたチラシを本堂と外村に渡します。
「オレも必要なら来賓たちを駆り立てるチラシを撒く計画だった。向こうに先手を打たれたが効果は十分発揮するだろう」
そして本堂と外村は手の空いている生徒にそのことを伝え、チラシを配ってもらうことになりました。
事前に対策を考えていた綾小路はさすがですね!
大反響のメイド喫茶
教室に戻りしばらくすると、チラシの効果もあったおかげで、『メイド喫茶』には大行列が出来ていました。
ですがここで別の問題が発生します。それは集客が出来たことにより、行列の中で痺れを切らした客が離れてしまうことです。
「綾小路くん、少しの間、接客から抜けてもいいかな。私に考えがあるんだけど」
そしてそれを見かけた櫛田は、列の最後尾へと向かい待っている客に対して、クッキーの詰め合わせを一人一人に配り始めます。
これにより、小腹を満たしてもらう効果と一度見返りを受け取ってしまうとその場から離れることに罪悪感が生まれる状況を櫛田は作ります。
そして櫛田はその場に留まり、笑顔で話しかけ続けることで行列から離れていく人を逃がしませんでした。
「櫛田さんの力、本領発揮だね」
平田は櫛田の働きぶりを見て、その才能を高く評価します。
ですが櫛田の才能が開花して30分後、今度は別の問題が出てきます。
「あの綾小路くん、櫛田さんはどこにいますか?」
が櫛田と写真を撮りたいと言っているお客さんがいるので、みーちゃんは櫛田を捜していましたが、列整理に出ていたはずの櫛田が見当たらないという事件が起きます。
綾小路はすぐに対処すべく、行列に並んでいた来賓の方に聞くと、
「あぁクッキー配っていた子のことかな?同じ学校の子に声をかけられて、ついていったみたいだよ。5分くらい前だよ」
「どんな子でした?」
「うーん、えっと、こう髪を2つ結びにしている女の子だね」
それを聞いた綾小路は持ち場を平田に任せ、櫛田の下へと向かいます。
ここで天沢が出てきますか!
天沢と櫛田
大勢の老若男女が入り乱れる中、綾小路は携帯を操作し、数分も経たないうちに櫛田の位置情報を手に入れます。
そしてそこに綾小路が到着すると、メイド服を着た櫛田が天沢に詰め寄り怒鳴り声を上げていましたが、綾小路の姿を見て落ち着きます。
「上手く連れ出したつもりだったんですけど、よくここが分かりましたね先輩」
「生憎と今は頼れる人間と手を組んでいる。どこに行っても居場所はすぐに分かるんだ」
天沢はそれが誰なのかは聞かず、綾小路は天沢に櫛田をこちらに返すように説得をします。
「あたしと櫛田先輩の組み合わせを見て、少しも驚かないんですね。知ってました?」
「いいや。だが今日このタイミングの接触で全てを理解した」
綾小路はなぜ櫛田が満場一致試験であのような無謀な賭けに出たのか?そしてその背後にはホワイトルーム生居たことを察します。
そして天沢は櫛田の手首を掴み、それを右手で引き寄せ櫛田の背後に立つと左手で力強く口元を塞ぎます。
「もしかして先輩はもう一人の存在が誰だか、目星がついてるんですか?」
そう言いながら天沢は櫛田に余計なことを喋らせないように強く拘束をします。
「らしくないな天沢。どうやら相当追い詰められているらしい」
「待ってくださいよ先輩、あたし何も言ってませんよぉ?」
「行動一つ一つが物語っている」
天沢はとりあえずは櫛田を解放するつもりはなく、櫛田の腕さらに力を入れていきます。
「あたし可愛い女の子ですけど、腕の1本や2本簡単に折れちゃいますからね」
「だったら試してみよう。おまえが櫛田の腕を折るのが先か、オレが止めるのが先か」
その瞬間、綾小路は地を蹴り、天沢が腕を折るための動作へと切り替えたところで潜り込み、今度は綾小路があっさりと天沢を拘束して身動きを封じます。
「あっれぇ…ちょっと予想外」
本来であればホワイトルームで学んだ天沢の格闘技術は本物ですが、綾小路には全く手が出ず、普段常にマイペースだった天沢のプライドに、深い傷がつきます。
「この際だから言っておくが、お前はもう一人の仲間がオレを退学に追い込むかもしれないと考えているようだが、オレがどうして一向に相手の名前を聞きだしたりしないのか不思議に思わなかったか?」
そしてだんだんと天沢の顔から笑みが消えてきます。
「それは最初から勝負になると思っていなかったからだ」
「本気―――――で言ってるですね先輩」
そしてトータル10秒にも満たない動きの中で、勝敗は決します。
「先輩には、あたしが櫛田先輩に接触した理由…分かったんですね」
「さっきすべてが繋がった。そしてお前が思いもよらないことが今起ころうとしている」
「思いも…よらないようなこと?」
「午後3時過ぎ、生徒会室を見張っていればいい。ただしお前は誰の目にも姿を見せるな。それで全ての答えが分かる」
そう言い残し、綾小路は櫛田を連れてメイド喫茶へと戻ります。
櫛田は綾小路の正体の一片を見て、一体何者なのか不思議に思うも「助けてくれて、ありがとう…」と感謝を伝えます。
いやー綾小路強すぎますね!
また天沢も一体櫛田に何をさせようとしていたのでしょうか?
長谷部と明人の復讐
櫛田が一時離脱したもの、メイド喫茶は何とか持ちこたえ、戻ってきた後は櫛田の活躍により尚長蛇の列が出来上がっていました。
ですがここで今度は明らかに客が多すぎることによる、人不足による事態に陥ってしまいます。
佐藤、みーちゃんがエースとして活躍する中、本来接客をする予定のなかった堀北もメイドとなり、ピンチヒッターとして石倉、ビラ配りに出ていた井の頭までホールを担当して動いています。
ただそれでも人手に苦しみ、人員不測の状態が続きます。
「長谷部さんは、やっぱり使えないの?」
長谷部は元々メイドとして働く予定だった一人でしたが、あの事件があった後、ずっと文化祭には不参加を貫き通していました。
櫛田は「長谷部が文化祭に参加しないのは嫌がらせであり、そこまでの復讐にはならない」と綾小路に言いますが、綾小路の見解はそうではなく、おそらくは「自主退学」をすることが復讐になると感じていました。
愛里が楽しみにしていた文化祭までは学校に留まり続け、その後は退学をしてクラスポイントに甚大な被害を与えることが長谷部の復讐です。
「このままでいいの?」
「それはオレが決めることじゃない。波瑠加が、そして明人が判断することだ。文化祭への不参加を貫くのならそれも仕方がない」
「私には本心から綾小路くんがそう考えているとは思えないけどね」
そして櫛田は「私なんかに手を差し伸べるんだもん。長谷部さんたちをこのまま見捨てたりはしないんでしょ?」と綾小路がこれからしようとしていることが言い当てます。
そして綾小路は「今から接触する」と伝え、その場を櫛田に任せ教室を出ます。
まさか自主退学するとはですね。でもやっぱり綾小路がなんとかしそうです!
愛里が残したもの
綾小路は一度教室に戻り、段ボールを持って、携帯で長谷部と明人が居る位置を確認しその場所へと向かいます。
「よくここが分かったね。きよぽん」
「おまえと愛里が、放課後よくこの辺で雑談をしていたのは知ってるからな」
そして波瑠加は早速綾小路にここに来た要件を訊きます。
「何しに来たのか、か?メイド喫茶は想像以上に大盛況でメイドの手が足らない」
「ふうん、そうなんだ。愛里がいればもう少し違ったかもね。私だって参加してただろうから、2人分の戦力が足らなくなったわけだし」
「その場合は、櫛田がいなかった。もっと悲惨な状況だっただろうな」
「嫌味に対して嫌味で返してきたね」
そして波瑠加は当然その提案を断ります。
「あの子には私が必要だった。そして、きよぽんが、綾小路グループが必要だった。好きな人に退学させられたあの子が今どんな顔をしてると思う?考えたことはあるの?」
そして波瑠加は愛里は辛くて心を閉ざして泣いているに決まっていると綾小路に告げます。
ただ綾小路はそんな波瑠加に対して、冷たく接します。
「残念だが、オレはそんな風に考えていない。退学した生徒のことなんてオレには関係ないからな。想像するだけで脳のリソースを無駄に使うだけだ」
「最低―――――ホント、最低だね」
そして波瑠加は綾小路に近づき、『退学届け』を突きつけます。
「もうこれ以上話をしているのも耐えられない。いっそ私と一緒に死んでくれない?」
「退学を迫るのはいいが、オレにはどうも府に落ちない。おまえの勝手な妄想に付き合わされている愛里の件がどうしても引っかかる」
それに対して疑問に思った波瑠加は「愛里の何が分かるの!?」と言いますが、綾小路はここで威圧を込めて「重い上がるなよ波瑠加」と言います!
「勝手に愛里の気持ちを憶測、代弁して都合のいい答えを出すなと言っているんだ。愛里の考えていること、その本心は愛里にしか分からない」
そして綾小路は持ってきた段ボールの箱を地面に置き、「お前にこの箱を開けてもらいたい」と波瑠加に言います。
その箱は愛里が退学する前に綾小路に送った物で、その中に入っていたのは『一着のメイド服』でした。
「こ、これ…」と波瑠加は言い、これは本来であれば愛里とお揃いで着るはずだったメイド服であると気付きます。
波瑠加はそのメイド服を抱きしめ、涙を流します。
「一緒に文化祭でしたかったっ…恥ずかしがるあの子の背中を押して、きよぽんにお披露目するあの子が見たかった…!」
ですが波瑠加は涙を拭いながら立ち上がり、「これは…違う…」と否定します。
「あの子が私に、文化祭の出て欲しいから用意したものなんかじゃない…ただ悔しかっただけ。本当は自分が着て出れたはずだって、きよぽんに恨みを込めて送ったの…そうに違いない」
と、波瑠加は認めませんでした。
するとそこに、この緊張感を場に相応しくない人物が現れます!
それはメイド服を着た櫛田でした。
「何しに来たの?」
「何しに?見届けに、かな。長谷部さんと三宅君が退学する気かもって綾小路くんに教えてもらったから」
櫛田は波瑠加に「退学するのなら好きにすればいい」と言いますが、「でもそんなことは佐倉さんが望んでいる事じゃない」と波瑠加の退学を否定します。
「綾小路くん。これ見てもらえる?」
櫛田は綾小路に携帯の画面を見せ、綾小路は驚きます。
そこには作られてまだ数日の、『雫』というグラビアアイドルのSNSのアカウントがした。
『長い間休止していたアイドル活動を再開することにしました』
『私にできることをやろうと決意しました。大切な親友に恥ずかしくない自分になるために。親友が卒業した後、恥ずかしくない自分を見せるために』
波瑠加は息を飲みながらそのアカウントを読んでいき、芸能プロダクションにもフォローされていることや呟きの内容から、そのアカウントが愛里のものであると分かります。
「それを読む限りじゃ、お前の言っていた愛里の悲惨な情景は目に浮かんでこないな」
振える波瑠加の目からは涙が零れ落ち、自分がついていなければ何もできないと思っていた愛里が前を向いて歩きだそうとしていることを知ります。
「私は―――私はどうしたらいいの…!」
「答えは一つだ。愛里に堂々と会えるだけの自分になることだ。Aクラスで卒業したなら話は違う。おまえは3年間を乗り越え、愛里に並んでも恥ずかしくない人間になるために踏ん張らなきゃならないんじゃないのか」
そして綾小路は「さっきのメイド服はもしもの時のために予算に計上している」と波瑠加に伝え、波瑠加はメイド服を胸に駆け出していきます。
愛理が退学しても成長していたのは感動です。
あと櫛田の活躍も良かったですね!
メイド喫茶の最終兵器
戻ってきた波瑠加と明人をクラスメイトは受け入れ、大忙しの中、練習をしていなかった波瑠加はぎこちないですがメイドとしてクラスに貢献をします。
そして午後3時を回る前、綾小路は最後にある計画を練っていました。
「実は――これから1時間ほど茶柱先生に協力を仰ぎたいんです」
綾小路は茶柱先生の所へ行き、急に先生に協力を要請します。
「メイド喫茶で売り上げを立てるために、茶柱先生にメイドになってもらいたいんです」
綾小路は勝つために盤石布石のために茶柱先生を利用することを決めていました。
それに対して茶柱先生は「何を言っているんだ?」と言い、特定のクラスに肩入れをすることは許されないと断ります。
ですが綾小路は、ルール上なんの問題もないことを示し、裏ルールである教師を借りる場合に発生する費用も支払うと言い説得をします。
慌てた茶柱先生は、学校側だけが知る裏ルールを確認すると『教師を借りる場合、1時間毎ごとに10万プライベートポイントを支払うこと』といったルールがあることを確認します。
そして時間もないので、綾小路は早速プライベートポイントを入金し、茶柱先生の協力を得ることに成功します。
「ひ、卑怯だぞ綾小路。学校のルールをつかうなんて」
茶柱先生は半ば強引に協力をさせられることとなり、急遽メイドとして働くことが決まりました。
「メイド喫茶のやり方などさっぱり分からない。どうなっても知らないからな」
「構いませんよ。先生には何も期待していません」
本日の一番の主役
「き、来たぞ綾小路。は、早く教室の中に入れてくれ!」
茶柱先生はメイド服を着て教室に出てくると、綾小路からは「何もしないでいい」と言われ教室の隅に放置されます。
そして綾小路は携帯であらかじめ用意していた文章を一斉にクラスメイトに送り、『ラスト一時間限定で茶柱先生がメイドとして働くことになった』ことを宣伝するように伝えます。
その効果は絶大で、来ているお客さんには現役の教職員や他学年の学校の先生などが興味津々で押し寄せてきました。
さらに教室に入りきらない客に対して、廊下を使って立ち見させたりなどをしてプライベートポイントを荒稼ぎしていきます。
「す、すごい数だね綾小路くん」
呆気に取られた櫛田は、押し寄せる大人たちに若干引きながら、綾小路もここまで効果があるとは思っていなかったようです。
こうして午後4時になるまで茶柱先生のメイド服姿の公開は続き、最終的に茶柱先生は63枚の写真撮影を希望され、その日一番の成績を叩きだしました。
茶柱先生可哀想ですが、流石ですね。
普段とのギャップがあったからここまで注目されたのでしょうね。
午後3時 生徒会室
午後3時になったところで、堀北は全生徒が取らなければいけない1時間の休憩を取ることになっていました。そして堀北はその時間を利用して、あることを確かめようとします。
それは議事録を確かめて八神の正体を確かめることです。
生徒会室は文化祭の間は閉鎖されているので鍵が閉まっていますが、堀北は事前に「手帳を忘れたかもしれない」と茶柱先生に報告し、鍵を持って中に入ることの許可を頂いています。
そして堀北は生徒会室の入り口に鍵を差し込むと、ポケットの中で携帯が震えます。
そしてその着信に表示された名前は『八神拓也』でした。
「もしもし」
「堀北先輩」
八神の声は思ったよりも近くで聞こえ、堀北は振り向くとそこには八神が立っていました。
「八神君、どうしてここに?」
「どうして…ですか?僕が近くから電話をかけたことは気になりませんでした?」
そして八神は堀北にどうして生徒会室に行くのかを尋ね、堀北は正直に手帳を生徒会室に忘れたかもしれないと嘘をつきます。
そして八神はそれを手伝うと堀北に協力して一緒に生徒会室に入ろうとしますが、
「人気のない生徒会室。声をかけたというけれど私は気が付かなかった。まるで後をつけられていたかのような状況で2人きりなる。女子にとってそれがどういうことか分かる?」
それを聞いた八神は「な、なるほど。すみません。考えもしませんでした」と深々と頭を下げて謝罪をしますが、その後「一言だけよろしいでしょうか?」と堀北に問います。
「堀北先輩が生徒会室に足を運んだ本当の目的は――――」
と、八神が言った瞬間に――――
「捕まえた!」
後ろから伊吹が八神を取り押さえます!
そしてそのまま生徒会室の中に入り、八神を拘束したままにします。
「また私の活躍に助けられたわね堀北」
「…助けられたって、私はまだ何もされて…」
堀北は事前に伊吹に連絡を入れていたようで、最新の注意を払って観察させていたようです。そして八神が堀北に詰め寄りそうになったから出てきました。
そして堀北は八神に生徒会室へ来た本当の理由を話し、議事録とサバイバル試験で書かれていた手紙の筆跡を確認すると告げます。
「私に寄越したメッセージは八神くんの字体に非常に似ている。それに加えて、隠された身体能力の高さ。そしてこの場に現れたこと」
「確かに身体を鍛えるのは嫌いじゃないので、ある程度の自身はありますが…流石に僕も少しだけ怒りますよ?この状況はあまりに一方的過ぎます」
そして堀北は議事録を確認しようとすると、今度は生徒会室に新たな人物が現れます。
「おっと――――これは随分と変わった状況だな」
姿を見せたのは生徒会長の南雲雅です。
そして南雲は今の状況を話すように言います。
生徒会長に見られた伊吹は八神の拘束を解き、拘束を解かれた八神は、堀北が手帳を捜しに生徒会室に入り、それを手伝おうとしたところを見た伊吹が八神が堀北を襲っていると勘違いになって今のような状況となったと話します。
そして南雲は「すぐに解散しろ」と告げ、引き下がらせようとします。
「それにしても南雲生徒会長、どうしてここに僕らがいると分かったんですか?」
八神は立ち去る前に南雲に疑問を投げかけます。
「答えてやってもいいが、その前に俺も八神には聞きたいことがあったな」
それは「綾小路を退学にさせたら2000万プライベートポイントを支給する」という裏の特別試験のことです。
その特別試験は、他者には口外してはいけない決まりでしたが、八神がそれを破ったと南雲は疑っています。
「僕ではありませんよ。南雲生徒会長を困らせるメリットがありません。それに他にも数名、同じ説明を受けた1年生が居たじゃないですか」
「まぁな。だがここに姿を見せただろ。勘ぐりたくもなるってことだ」
そして八神は呆れたように息を吐き――――
「…なるほど、良く分かりました。最初からお二人は組んでいたんですね。あのラブレターに見せかけた手紙を僕に渡したときから、ここで僕を無理やり追い込むことを決めていたんですよね?」
そして南雲は「これのことか?」とポケットからラブレターを取り出します。
「分からないな。差出人不明の、俺への想いが書かれた単なるラブレターだ」
「違います。その手紙は一見すると確かにラブレターですが『文化祭午後3時生徒会室』と書かれています。その他にも『重要』『退学』『秘密』などのワードが随所に見受けられました。違いますか?」
南雲は封の開けられている手紙を開き、もう一度目を通すも「どこにもそんなことは書かれていない」と言い、堀北もその中身を確認します。
確かにその中身は「名前を告げずに告白することを許してほしい」「ずっと好きだった」などの内容が書かれていました。
「猿芝居は止めて下さい。アナグラムを解析すれば真実が見えてきますよね」
文字を並び替え別の意味に変えるアナグラム。それを解読できる八神に、南雲と堀北は強く警戒をします。
そして八神はそのアナグラムから得た情報でここを辿り、この場所へと来たと告げます。
「堀北先輩、あなたは議事録を見せられて無人島試験での紙を連想し、僕が犯人だと考えた。そして南雲生徒会長にラブレターに見せかけた手紙を渡し密かにメッセージを送ったんです」
八神はそういうも南雲はなんのことかよく分からず、「無人島?議事録?鈴音が探している人物?なんの話だ」と訊き返します。
「まだ芝居を続けるつもりですか南雲生徒会長。あなたも、そして堀北先輩もある人物の指示を受けて行動をしていることは分かっています。全てはこの手紙のアナグラムを作った綾小路先輩の指示なんですよね?人が悪いなぁ。堀北先輩に議事録を見せるまでもなく、もう辿り着いていたんじゃないですか」
八神は全て分かったようにそう言うも、堀北も南雲も良く状況が分かっておらず混乱をします。そして南雲は「分かるように説明をしろ」と八神に言います。
「ふう。流石に飽きてきましたよ南雲生徒会長。あなたは手紙を通じ堀北先輩と共に綾小路先輩とここで落ち合うつもりだった。そして僕と話をするつもりだった。彼も一人で会うのは危ないと思ったんでしょうね。うん、賢明な判断だ」
熱くなっている八神に、今度は南雲が「俺が生徒会室に来た理由を教えてやるよ」と携帯を取り出し、電話をしてその人物に生徒会室に入るように伝えます。
「あっはっは!やっぱり綾小路先輩が来ていたんですね!嬉しいなぁ!」
そして中に入ってきたのは、予想の斜めのいく人物、
龍園翔とそのクラスメイトの木下、小宮、そして担任の坂上先生とAクラス担任の真嶋先生が入ってきました。
えっ龍園!!!まさかに展開!
暴かれた八神の正体とその後
「…なんですか。これ」
八神はこの状況が理解できなく、一番唖然としています。
「生徒会室に来たのは龍園達と話をするためだ。そうだよな?」
「ああ、そのつもりだったんだが取り込み中だったか?」
「…そんなはずありません。ですが、これはどういう?」と戸惑いを隠せない八神に対して、今度は龍園が近づいて八神に指を指します。
「おまえらが言っていたのはコイツで合ってるな?」
その龍園の言葉に対して、木下と小宮は「間違いないです」と答えます。
「テメェが小宮と木下を可愛がってくれた犯人なんだってなぁ」
八神はそれに対し「は…?意味が分からない」と言いますが、龍園は「先日二人が無人島試験で八神に突き飛ばされて大怪我をしたことを思い出した」と八神に言います。
「八神。あの日、2人のアラートが鳴った際にお前の腕時計のGPSが機能していなかったことは分かっている。特別試験中に腕時計が壊れた生徒は複数いるが、最後に消息を絶った地点から小宮たちに接触を出来たのはお前を含めて2名だけだ。もちろん、当時小宮も木下も、その篠原も誰かに怪我をさせられたと言っただけで名前を口にはできなかった。そのため事故として処理する他なかったが――――」
と真嶋先生が説明を加えます。
「記憶になかったはずなのに同時に思い出して僕の名前を言った?あり得ません!この2人が口裏を合わせて僕の名前を出したに決まっています!」
「口裏を合わせる?お前の腕時計が壊れていたことは一般の生徒は知らない事実だ」
そして龍園は八神の前髪を掴み、それを引っ張ると、八神がなぜ木下と小宮が思い出せなかったのかの理由を述べます。
「誰にも見られたはずがない、完璧に上手くやったはずだ。そう思っているからだろ?」
八神はあくまで否定し続けるも、状況証拠的にどんどんと厳しくなっていきます。
「本来なら敵討ちのために同等以上の怪我を負ってもらうところなんだが、生憎センコーの前だ。勘弁してやるよ。おまえに待っているのは退学以外の何でもないだろうからな」
ここまでの一部始終を見た堀北は、あの1通のラブレターからすべてが始まっていたのだと気付きます。そしてここまで先を見越して準備をしていた綾小路の姿が頭に浮かび堀北は少し綾小路に対する見解を変えることになりました。
「僕は、僕はまだ彼と戦っても…いや、それ以前の状態なのに?こんなところで、終わる?終わるなんて、そんなバカな…!」
全身を震わせた八神は、これまでにない声で叫び、
「直接相手をするまでもない…ということか?は、はは…は…はっ…!ふざけるな、ふざけるな!」
八神は豹変し、先生が目の前に居ることも無視して龍園に向かいます。
ですがその前に伊吹が八神に飛び蹴りを放つと、八神はそれを綺麗に捌き、肘を伊吹の腹部へと叩き込みます。
「止めろ八神!」
先生たちが八神を止めようとするも、龍園はそれに向かい打とうと拳を構えます。
「おまえ如きに止められるはずがないだろ。いいか?今から僕の目の前に立ちふさがるヤツは誰であろうと容赦しない。女も教師も関係ない。小宮たちのように痛い目を見たくないなら黙って下がれ」
「クク。それがお前の本性ってわけか。面白いじゃねぇか」
すでに退学が決定している八神は恐れることもなく、先生だろうが向かい打つ覚悟でしたが、ここで生徒会室の扉が開かれ、瞳を赤く腫らした天沢が出てきます。
「もう止めよう、拓也」
「あ?なんでおまえがここに…いつからいた…」
「これ以上暴れたって、それでどうなるっていうの?それで認めてもらえると思っているの?受け入れてもらえると思っているの?もう…終わったんだよ」
「そんなことはない!先生たちが待ってるんだ!僕は、僕は一番になるんだ!」
どうしても止まらない八神に天沢はそれを向かい打とうとしますが、その前に大人が5人、無表情で生徒会室へと入ってきます。
「な、なんであなたたちがここに…?な、なんで…」
「生徒会室まで迎えに来るように電話を受けた。予定とは少し違ったがな」
今まで殺気だっていた八神は大人しくなり、抵抗することもなく大人たちに連れて行かれます。
「八神、天沢の関係者です。この場は我々が収めますのでどうぞ治療されてください。それからここでのことは先生方、そして生徒も他言無用でお願いします。全て坂柳理事長には話を通させていただきますのでご安心を」
そしてこの場は解散することになります。
綾小路が直接手を下さないで八神を倒すとは…!
綾小路凄すぎます!!!!
文化祭終了
午後4時を迎え、慌ただしかった文化祭は終了しました。
「この後結果が発表されるけれど、その前に話しておきたいことがあるの」
堀北は文化祭の総括を行う前に、どうしても伝えたいことがあり、堀北が促したわけではありませんが、長谷部が前に出ます。
「最初に伝えておきたいと思う。私は、ここにいる全員を許したわけじゃない。だけど、一番許せないのは私自身。退学した人は全員不幸になると決めつけていた。去年いなくなった山内君、そして愛理」
長谷部は今までの心境を語り、文化祭が終わった後は退学してクラスに復讐をするつもりだったとみんなに伝えます。
「でも、私にチャンスをくれるならこのクラスに残らせてほしい」
そして長谷部は愛理が今外の世界で頑張っていることを伝え、これからはAクラスで卒業して会いに行けるようになると誓います。
「よく決断したわ長谷部さん」
堀北は長谷部の気持ちを取り入れ、今後は私たちと共にクラスメイトであり続けるようにと言います。
そして午後6時になる前に、文化祭の結果が発表されます。
- 1位:2年Bクラス +100クラスポイント
- 2位:2年Cクラス +100クラスポイント
- 3位:3年Bクラス +100クラスポイント
- 4位:2年Aクラス +100クラスポイント
- 5位:1年Aクラス +50クラスポイント
- 6位:3年Cクラス +50クラスポイント
- 7位:2年Dクラス +50クラスポイント
- 8位:1年Cクラス +50クラスポイント
- 9位:3年Dクラス +50クラスポイント
- 10位:1年Bクラス +50クラスポイント
- 11位:3年Aクラス +50クラスポイント
- 12位:1年Dクラス +50クラスポイント
この結果を見て、クラスメイトは大喜びをし、とりあえず1位を獲れたことに安堵をします。
やっぱり見事1位でしたね!
ですが坂柳のクラスもちゃっかり4位にいますね。
裏で暗躍する者たち
解散となった教室で、堀北は松下を除くメイド喫茶の立役者であるメンバーの佐藤・みーちゃん・前園の3人を呼び出します。
「実は―――あなたたちに謝らなければならないことがあるの」
そして堀北は、メイド喫茶をするにあたって、龍園クラスと事前に決めていたことを話していきます。
実は、龍園クラスと堀北クラスは同じコンセプトカフェをすることは初めから決まっており、龍園がその情報をリークして勝負を挑むことも決まっていました。
それはメイド喫茶の出し物を周知させ、競合を作らないこと。そして周りを騙すために芝居をうっていたこと。
「本当にごめんなさい。勝つためとはいえあなたたちにまで黙っていて」
それを聞いた佐藤たちは、結果として1位を獲れたのだから気にはしていないと全員受け入れてくれます。
「積もる話もあるでしょうけれど、今日はこれで解散よ。本当にありがとう」
そして3人は帰り、堀北はどうしても綾小路に聞きたいことがあると言い、綾小路と話をします。
「今日の文化祭。その裏で起きていた重大な事件。…あなたは―――」
とその時、綾小路の携帯が鳴り、綾小路は知らない番号からの着信に出ます。
『まだ学校に残ってますかー?良かったら、少しだけ話しませんか』
その声は、1年Cクラスの椿桜子でした。
綾小路は堀北に少しだけ抜けると伝え、椿との待ち合わせ場所へと行きます。
そしてそこへ向かう前に綾小路は、本日一番お世話になった人物に電話で連絡を入れます。
「3年生の情報網は流石ですね。櫛田桔梗にしても長谷部波瑠加にしてもすぐに探し出してしまうんですから。南雲生徒会長の実力を改めて痛感しましたよ」
『そんなこと言うために電話してきたのか?』
綾小路のかけた相手は南雲であり、一応お礼の電話を南雲に入れました。
『まさかあいつが無人島で暴れた奴とは思わなかったぜ。どこまで知ってたんだ?』
「何も知りませんよ。ただ八神が勝手に自白しただけです」
『小宮たちが八神を名指ししたのはどういう手回しだ。教師が現れたのも偶然か?』
「揉め事の中心人物が黒かも知れないと伝えただけです。犯人を特定できずにいた龍園サイドはヒントを欲していましたからね。生徒会に誰も来ない、あるいはいても何も起きないリスクを承知した上で提案に乗ってもらったんです」
南雲は「どこまでが本当のことなのか怪しいものだ」と言い、これで綾小路は南雲との勝負の約束を果たすことになりました。
まさか龍園と堀北は協力をしていたんですね。
これには騙された人は結構いたんじゃないでしょうか?
1年生の裏で動いていた者
綾小路は椿との待ち合わせ場所へ行くと、そこには椿と少し離れたところで電話をしている宇都宮を見かけます。
「想像以上の結果に満足しています。綾小路先輩」
実は今回の八神の退学騒動に一枚絡んでいた人物は、椿桜子でした。
「佐藤先輩から上手く情報を引き出してくれたようですね。そして見事に八神くんを退学に追い込んでくれた。とても感謝しています」
「オレが情報を引き出したんじゃない。おまえが佐藤に繰り返し接触し、じわじわと追い込んだだけだろう。そして堪えきれず誰かに吐き出すよう調整して脅しをかけた」
椿は以前ケヤキモールで佐藤に綾小路と軽井沢の関係、そして自分の立ち位置を好転させる材料をちらつかせて好奇心をくすぐっていました。
その後、椿は佐藤に安直な脅しをかけ続け、佐藤が疲弊して誰かに相談するように仕向けます。そして椿は佐藤に八神の命令でこんなことをしていると伝え、それが綾小路の耳に入り、綾小路が八神を消す様に動かします。
綾小路は全て把握していましたが、何故この提案に乗ったのかについては椿には話さず、その裏にいる宇都宮と電話している人物と話をすることにします。
宇都宮は通話中の携帯を綾小路に渡し、
『八神は椿たちのクラスメイトを退学にさせた。それがその二人が協力した理由だ』
この声を聞いた綾小路は、綾小路の部屋の前で話していた人物であると確信します。
『直接動けばいつでも倒せると分かっていて放置していたんだろう?だが、その結果1年生からは退学者が出た。厄介者がいなければ起こらなかったことだ』
「否定はしない」
『これ以上余計な犠牲を出させないためには退学してもらうしかない。だが、分かっていても八神を倒すのは簡単じゃない。並の高校生じゃないことは分かっているからな』
そして電話の先の男は、綾小路が八神を退学にした経緯を聞き、結局のところ八神が今まで遊んでいたことが原因で退学に至ったという事が分かります。
『綾小路先生の言う通り、この学校を選んで正解だった』
綾小路と話し、それに満足したその男は「1年2年でぶつかり合うことがない限りこの関係はここまでにしよう」と告げ電話が切れます。
電話が終わった後、宇都宮は「色々と分かってくれました」と言い、その後は椿を連れて帰っていきます。
まだ1年生には裏の人物が良そうですね…
最終結果
椿との会話を終え、綾小路は教室に戻る途中、茶柱先生と遭遇します。
「今日はお疲れ様でした。大活躍でしたね」
「…何がお疲れさまだ」
綾小路を睨むような目で見ている茶柱先生は、あの後職員室に戻るとメイド服を着た写真があちこちの先生の机に置かれていたことや短時間の間に質問攻めにあっていたことで恥をかかされたことを愚痴ります。
「それはそれです。クラスが1位を取ったんですからいいじゃないですか」
「全然良くない。むしろ私が何もしなくても上位は確実な売り上げだったんだ」
それに対して綾小路は、「まぁ1位の方が見栄えが良いから」と茶柱先生をなだめます。
そして茶柱先生と教室に戻ると、そこには机の上でぐっすりと寝ている堀北が居ました。
それを見た茶柱先生は、ここは任せて綾小路は帰るように伝えます。
「いいんですか?」
「影の立役者にそれくらいのサービスがあってもいいだろう」
11月の文化祭終了時点のクラスポイント
- 坂柳率いるAクラス 1201ポイント
- 堀北率いるBクラス 966ポイント
- 龍園率いるCクラス 740ポイント
- 一之瀬率いるBクラス 675ポイント
【よう実】2年生編7巻ネタバレ・感想:まとめ
以上、よう実2年生編7巻のネタバレ・感想でした。
今巻では、色々な問題が片付いて非常にスッキリした内容となっていましたね。
- ホワイトルーム生の八神の退学
- 長谷部との和解
- 文化祭での勝負
- 佐藤の裏で動いていた人物
- 南雲との対決
など、非常に注目所の多い展開となっていたので面白かったです。
次巻はおそらく7.5巻の冬休み編となりそうですが、その次の南雲と綾小路の戦いは面白そうですね!
でもまさかあの1通のラブレターからあそこまで事が進むとは…
綾小路、恐ろしすぎます!
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【よう実】キャラクターまとめ
堀北クラス
一之瀬クラス
柴田 颯 | ||
姫野 ユキ |
龍園クラス
石崎 大地 | 金田 悟 | 山田 アルベルト |
時任 裕也 | 真鍋 志保 |
坂柳クラス
鬼頭 隼 | 山村 美紀 |
3年生
朝比奈 なずな | ||
桐山 生叶 |
1年生
卒業生
先生
坂上 数馬 | 星野宮 知恵 | |
真嶋 智也 |