「たんもし」こと「探偵はもう、死んでいる。」の原作2巻のネタバレ・感想をしていきます!
仲間となった斎川と旧友であったシャルとの出会いもあり、君彦と夏凪は名探偵と助手で再びSPESと立ち向かいます。
そんな夏凪と君彦の前に今度はどんな敵が現れるのでしょうか?
ボリュームが多いので前編・後編の2記事でまとめています!今記事は原作2巻のネタバレ・感想の前半の記事です。
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【探偵はもう死んでいる】2巻ネタバレ・感想、前編
では「探偵はもう、死んでいる。」の原作2巻の内容を簡単にですがネタバレしていきます!
今記事は原作2巻の前半記事です!
後半記事はコチラ➡2巻のネタバレ・感想後編!
プロローグ
「…どこだ、ここは」
《カメレオン》との激戦を終えた君彦たちは、後日シエスタの墓参りをすることになり、君彦とシャル、夏凪、斎川の4人で墓参りに向かっていました。
ただその道中に、何者かに攫われてしまい暗い部屋に閉じ込められてしまったようです。
すると部屋にあったスクリーンから映像が映し出されます。そして次の瞬間、全員声も出ずにスクリーンを見ることになります。
「今、私のこの映像が流れているということは、この場に――君塚君彦、夏凪渚、斎川唯、シャーロット・有坂・アンダーソンの四人がいるということだね」
スクリーンに映し出された少女はなんと死んだはずのシエスタでした!
ただこれは録画映像であるすぐに気づき、その続きを四人は見ます。
「君たちには、そろそろ知っておいてほしいと思うんだ。1年前、私になにがあったのか」
それはシエスタが死んだことの本当の理由でした。そしてシエスタはカメレオンには殺されていないと言い本当の真実を告げようとします。
「そして他のみんなにも知ってほしい。その上で――決断してほしいんだ。私たちの身に起きたあの出来事を。私の死の真相を。そして、私が挑んだ最後の戦いを」
過去~ハイジャック後~
ここからは4年前の出来事から振り返ることになります。まずはシエスタと君彦が出会った飛行機での事件の後から始まります。
「断る。誰がお前の助手なんかなるもんか」
君彦とシエスタは《コウモリ》が起こした飛行機でのハイジャック事件の後、シエスタは君彦に「私の助手として世界を飛び回るのに付き合ってほしい」と頼み込みますが、君彦はそれを拒絶します。
「君も強情だなぁ。こうして君の家に侵入するのだって楽じゃないんだからね?」
「というか、鍵はちゃんとかけていたはずなんだが?」
「ああ、それならマスターキーで開けさせてもらったよ。私の《七つ道具》の一つでね、この鍵に開けられない鍵はないんだ」
実は一週間ほど説得は続き、シエスタは君彦の家にまで侵入して説得をしていました。
君彦は飽きれながらもシエスタに付き合いますが、助手になることは断ります。君彦は“巻き込まれ体質”のせいで昔から損ばっかな境遇におり、ただ平和に暮らしたいと思っていました。
そこでシエスタは君彦にメリットを提示します。
「なにか、悩みがあるんでしょ?それを解決してあげることが、私が君に与えられるメリットだよ」
「…実は、学校でトイレの花子さんが大量発生しているらしい」
そしてシエスタは君彦の悩みを聞き入れることにします。
過去~トイレの花子さん~
君塚の言う学校の花子さんとは、花子さんに会った生徒は、今度は自分が花子さんになってしまうというものでした。
君塚の通う学校では、全体で二十人ほどの生徒が休んでおり、数名は家出もしているようです。
「学校からいなくなったっていう生徒は、当然君の友人じゃないんでしょ?なのに心配して助けようとしている」
「まるで俺に友人がいないことが当たり前のように言うな」
「君の言う《巻き込まれ体質》っていうやつなのかな。同時に君には《人助け体質》も染みついてるんだよ」
物心つく頃から両親がいなかった君彦は、いろんな家や施設を転々としながら、今は一人暮らしをしています。そんな環境で育った君彦は平和な日常を求める為に事件があったら解決しようとしているようです。
「そっか、家族も友達もいないんじゃ寂しいよね」
「だから友達がいないって一度でも俺言ったか?勝手な推測はやめてもらっていいか?」
「じゃあ週末、二人であれに行こう」
シエスタが指をさした先は、テレビに映し出された不登校の少年がヒロインらしき少女に連れられて、学園祭へ出かけるシーンでした。
「…いや花子さんの話どこいった?」
過去~学園祭へ~
あれから数日後の土曜日、君彦は通っている学校の文化祭に来て、シエスタを待ってました。
「お待たせ」
到着したシエスタでしたが、その恰好は白のセーラー服にスカートを着ており、君彦の学校の制服を着用していました。
「なんだかいつもに増して目つきが悪いね」
君彦は制服姿のシエスタに見惚れながらも「どうしてうちの制服を着てるんだよ」と問います。
「だって、文化祭での制服デートって、楽しそうじゃない?」
そして二人は文化祭デート?で校内へと向かいます。
そして屋台のクレープを食べたりなどして君彦はデートを楽しみます。そしてシエスタはなんでこんなに優しいのかと聞くと
「居もしないトイレの花子さんより、目の前の文化祭なんだよ」
「はぁ、まぁ私と君が付き合うことは絶対にないからラブコメと言えるかは微妙だけど」
「ん?」
少し間が空き、シエスタは納得します。
「え、なに?君はまさかデート=私が君の彼女になるみたいな話だと思ってた?」
「…さっきのくだり、丸々なかったことにならないか?」
そして君彦はシエスタの距離感に惑わされながらもデートの続きをしていきます。
過去~花子さんの正体
「理不尽だ」
君彦は現在、シエスタに連れまわされたことで食べすぎによる腹痛に悩まされていました。そして君彦が入ったトイレは花子さんが出ると噂されているトイレであり、「いや、まさか中学生にもなってお化けにビビったりはしないがな」と一人で言いつつも怖がります。
「誰に言い訳してるの?」
「…っ!」
するとシエスタが個室の上から顔を覗かせ「よいしょ」と言いながらトイレの個室をよじ降りて侵入してきます!
「よいしょ、じゃないが。なにを降りてきてんだ」
「ずっと上にいろって」
どうやらシエスタは調べたいことがあったようで便器の陰からポリ袋の切れ端を見つけます!
なにがなんだか分からなかった君彦がため息をした瞬間、シエスタは「静かに!」と君彦の口を塞ぎます。
そして聞き耳をたててみると、誰かが君彦たちが入っている個室のドアを叩く音が聞こえます。再びドアが叩かれると、君彦とシエスタは頷き合いゆっくりと鍵を開けてます。
その瞬間、目の前にいたのは赤い吊りスカートの女の子――ではなくピンク色のうさぎのぬいぐるみでした。
気づくとうさぎは背を抜けて走り出して逃げようとしていた所、シエスタはその背中に向けて銃を構えます。そして訳も分からず立ち尽くした君彦にシエスタはこう言います。
「あのウサギこそが、トイレの花子さんだよ」
過去~純白の衣装~
シエスタに促され君彦たちはうさぎの跡を追います!逃げ足の速いうさぎは旧校舎から出て新校舎へと逃げ、そこに広がる風景は何体ものいるうさぎの着ぐるみでした。
「木を隠すなら森の中ってわけだね…もぐもぐ」
「ああ、うまいこと撒かれたな。そして台詞にそぐわない擬音語が聞こえてきたが」
隣を見るとシエスタはじゃがバターに噛り付いていました。
「エネルギーを補充しないと動けないんだよ。三百円だって」
「さっき死ぬほど食っただろ。そしてまた当然のように俺に支払いを求めるな」
ウサギを見失いそうになりましたが、一匹だけ不自然な動きをしているウサギを見つけ君彦は追おうとしますが、ここで女子生徒からある呼び込みの声が聞こえてきます。
「被服部です!コスチュームの無料試着体験やってます!」
「二名でお願いします」
シエスタは迷わず呼び込みに応じます!君彦は「そんな時間はない」と言いますが、シエスタは「これも作戦だよ。」と言い二人そろってコスチュームに着替えることにします。
簡易試着室に入り、カーテンが空くとそこには、純白のウエディングドレスを纏ったシエスタが現れます!
「どう?」、「あ、ああ。まぁ…似合ってる、な」
「…素直に言われるとは思わなかった」、「…まぁ、嘘をついても仕方ないからな」
「でも君も、似合ってるよ…その、タキシード姿」、「そ、そうか」
なんともむず痒い感覚がした二人は互いに顔を逸らします。すると被服部員の少女がカメラを構え「よかったら、写真撮りますよ!」と提案してもらい、二人は写真を撮ることになります。
「良い思い出ができたね」
シエスタははにかみ、君彦も薄く笑います。君彦はいい思い出となったことに浸っていましたが、
「――じゃなくて!!うさぎを追うんだろ!」
「うっかりラブコメに尺を使いすぎたね」
そしていつもの調子に戻ったシエスタはウエディングドレス姿のまま教室を駆け出していきます!
過去~うさぎの正体
再び追かけ始めた二人は、2階から追っている着ぐるみのうさぎが人ごみに沸く校庭を真っ二つに横断している姿を見かけます。そしてシエスタはドレス姿のまま窓を開け放ちます!
「…ちょっと待て、嫌な予感がするんだが?まさかとは思うが、お前ここから飛ぶつもりじゃないよな?」
「うん、違うよ。私だけじゃなくて君も一緒にね」
「は?」
「大丈夫。私が履いている靴は、例の《七つ道具》のうちの一つでね――空を飛べるんだ」
その日、タキシードを着た少年がウエディングドレスを身に纏った少女に抱えられて空へ跳躍する姿の映像がSNSを大いに賑わせました!
そして翌日、とある喫茶店にてシエスタと君彦は今回の事件について改めて語り合っていました。
「そう、これが今不登校になっている生徒たちが摂取していたクスリのポリ袋。ある種の覚せい剤みたいなものでね。摂取すると一時的に気分が高揚したり、集中力が増したりするってことで、この学校ではまず陸上部を中心に広がってたみたいだね。」
今回の事件の真相は、生徒の間で流行っていた依存性の高いクスリであり、クスリを買うお金を得るために、今度は自分が売る側になり加速度的に《花子さん》増えていったとのことでした。
シエスタは最初からうさぎに目星をつけており、こっそりと隠語を使いうさぎとコンタクトを取り、客のふりをして個室へと隠れたようです。
そして無事事件を解決したシエスタは改めて君彦に「助手」になることを勧めます!
「俺がお前の助手になることで、俺にどんな利点がある?お前はどんなメリットをもたらしてくれる?」
「私が君を守る。君がその体質のせいで、どんな事件やトラブルに巻き込まれようと、私がこの身を挺して君を守ってあげる。――だから――君、私の助手になってよ」
君彦は何を上手いこと言いくるめようとしているんだかと思っていましたが、
「まぁ、そこまで言うなら付き合ってやらんでもないが」
気づくとシエスタの言葉を受け入れていました!
過去~死者は隠して蘇る~
「生き返ったジャック・ザ・リッパ―を捕まえる手助けをしてほしい」
イギリス、ロンドンにて君塚とシエスタは探偵として依頼を受けていました。依頼人は加瀬風靡でありタバコをふかしながらそう言います。
「…風靡さん、あんたなんでイギリスに?」
「ああ、お前らには言ってなかったが、出向でな。とはいってもそれも昨日までで、アタシはこの後の便で日本に戻るんだが」
昔日本で顔なじみであった、赤髪の女刑事であり、会うのはシエスタと共に日本を離れてから3年ぶりでした。そして唐突に君彦とシエスタが居を構える事務所へとやって来て依頼を突き出してきます。
ジャック・ザ・リッパ―とは百年以上前に発生した被害者をバラバラにしたり、臓器を抜き出したりした別名「切り裂きジャック」と呼ばれる連続殺人事件の首謀者です。もちろん既に死んでいるはずですが、ここ最近同じような手口での犯行があり、風靡さんは依頼を出してきました。
そして依頼を聞いている最中シエスタは居眠りしており、君彦に無理やり起こされます。
「で、なに?現代に蘇ったジャック・ザ・リッパーだったかな」
「なんで眠りながらも話はしっかり聞いてるんだ。あと、額に寝てた跡ついてるぞ」
「寝てても聴覚細胞だけは常に働かせてるからね。うそ、どこ?赤くなってる?」
そして、シエスタと君彦はこの後少しじゃれあいます。それを見た風靡さんは
「お前ら、いつの間にそういう関係になったんだ?」
「どういう関係と言われても」「別に、普通に」
「「ビジネスパートナー」」
声を合わせて言う二人を見て、風靡さんは「まぁ、別になんでもいいが」と興味なさそうに言い、
「早速切り裂きジャックの被害者に会いに行くぞ」
過去~ケルベロス~
これは《ケルベロス》の仕業だね
風靡さんとは別れ、シエスタたちはジャック・ザ・リッパ―の殺害現場に来ました。シエスタは七つ道具の一つである手鏡を君彦に見せると、そこには珍妙なポーズの男が映っていました。君彦はケルベロスについてシエスタに聞くと、《ケルベロス》はSPESの人造人間であり、人間の心臓を食い散らかすようです。
「敵の目的は?なぜケルベロスは人の心臓を奪って回っている?」
「独断の判断でこんなこと続けているとは考えにくい。きっと上からの指示による犯行だと思うけど」
シエスタはケルベロスを捕獲して吐かせればいいと言い、既に算段はついているとのことでした。というか既にシエスタはケルベロスによる被害は知っていたようで前から追っていたとのことです。しかし相手は《鼻》が優れている為、いつも取り逃がしていました。
「私たちがケルベロスを追うんじゃない。ケルベロスが私たちを追ってくるんだよ」
ただ今までと状況が違く、近くにシエスタが居るにも関わらず犯行が止まらないことでシエスタは君彦を囮に使ってケルベロスをおびき出そうと計画します。それに対して君彦は「理不尽だ」と言いつつも協力します。
過去~名探偵はやって来ない~
『そういうわけで、君は部屋でのんびりピザでも食べながら余生……じゃなかった余暇を楽しんでほしい』
「助けに来るんだよな?俺が殺される前に助けに来てくれるんだよな?」
そういわれた君彦は、シエスタが用意したホテルの一室で待機していました。そして電話でシエスタと話しながら最終確認に入ります。
そして数時間後、ケルベロスは予想通りにシエスタが居ない時を狙い君彦に襲撃をしてきます。もちろん君彦は何も用意していなかったわけではなく
「悪いな。殺されることには慣れてるんだ」
君彦は不意をつく形でベッドから飛び起き、敵の腕を両足で挟み、一気に十字で固めます!そしてシエスタが来るまでの時間を稼ごうとしましたが、敵は腕を自ら脱臼させ逃げ出します。
「シエスタ、稼げて三十秒だぞ」
どこにいるか分からない相方に望みを託しつつ、君彦は敵と相対します!そして暗闇の中、君彦はライターで火を灯し相手を確認すると、そこにいたのは迷彩服姿の一人の少女でした!
「ワタシの名は――シャーロット・有坂・アンダーソン」
過去~ケルベロス登場~
「シャル?」
君彦はこの時何度か会ったことのあるシャルを思い出します。そしてすべてを察します。
「あ、そういうことか。シエスタに頼まれたんだな?」
「…そうよ。まったく、いきなり襲い掛かってくるんだもん」
そしてシャルは一瞬ですが君彦に遅れをとったことを認めます。
「奇策もあったとはいえ、ワタシが押し倒されるだなんて」
「まぁ確かに、俺がシャルにサシで勝つのは初めてか」
だがここで君彦は何か引っかかります。あのプライドの高いシャルが自分の負けを簡単に認めるわけがないと!!
そして君彦はシャーロット・有坂・アンダーソンと名乗るやつに訊きます。
「お前は、誰だ?」
「なるほど。見抜かれたか」
そして次の瞬間、シャルの声が太い男性の声に変わり、容姿も黒色のローブを身に纏った屈強な青年に変化します。
「まぁよい。どのみちその心臓はもらい受ける」
「…っ、やっぱりお前がケルベロスか」
そしてケルベロスは全身の筋肉を隆起させ始めると、やがてその身が深い毛に覆われていきます。その姿はまるで狼男のようでした。
そしてケルベロスの鋭い爪が君彦を襲うと
『伏せて』
と電話口から漏れた声を聞き、ギリギリのところで敵の攻撃を避けます。
ついでに、銃声と野太いうめき声が聞こえ、そこには肩から赤黒い血を流した獣人が倒れていました。
そして背後を振り返ると――白髪の少女が窓際に立って言います。
「寂しかった?」
過去~新たな刺客~
シエスタはマスケット銃をを倒れたケルベロスに突き付けます。
「まだ捕まるわけにはいかない」
ケルベロスはそういうと変身能力を使い、シエスタの拘束から抜け出します!そしてケルベロスは逃げようと窓の外へいこうとすると――
ケルベロスの首がだけが、窓の外へ落ちていき、頭部を失った胴体がゆっくりと仰向けに倒れます。
何が起きたのか分からなかった君彦は戸惑いますが、シエスタはマスケット銃を構え警戒します!
「こうして実際に顔を合わせるのは初めてだね、メイタンテイさん」
ケルベロスを始末したであろう人物がサーベルを持ちながら話しかけてきます。
そこに立っていたのは黒髪のショートカットに紅い瞳の少女。歳はシエスタと同じぐらいであり、何本ものサーベルを差しています。
「ボクの名前はヘル。コードネーム――ヘル」
少女は窓に腰掛け、血で汚れたサーベルを拭きながら淡々と告げます。
君彦はその名前を聞き《SPES》の者だと気づきますが、シエスタが険しい顔で「《SPES》の最高幹部だよ」と呟きます。
そしてヘルはなんの感情もない表情で始末したケルベロスの左胸から小さな黒い鉱物のような物を取り出します。
「さて、あとはこれを持ち帰って作戦を実行に…」
「移させると思う?」
シエスタはヘルを睨みながらマスケット銃を構えます!するとヘルはシエスタに視線を移し――
「キミは撃てないよ」
「なにを言って……。……っ?」
「そればかりか、キミはそこから一歩も動けず声を出すことも出来ない」
するとシエスタは目を見開き、口をパクパクと動かすばかりで一言も発せませんでした。そして君彦は――
「まさか、《人造人間》の能力……」
「さぁ、一緒に地獄を見に行こうか」
そうつぶやいた瞬間、君彦の意識はなくなります。
過去~一年後の未来へ向けた話~
目を覚ました君彦は、見慣れぬ薄暗い場所空間にいました。腕には手錠をされ、足は鎖で拘束されていながらイスに座らされています。
そしてそこにシエスタの姿はなくヘルがいました。そしてヘルは目が覚めた君彦に
「キミ、ボクたちの仲間にならない?」
「お前、何を言って……」
「ああ、少し誤幣があったね。――キミには、ボクのパートナーになってほしいんだよ」
君彦はもちろん断りますが、ヘルは手元の本を見ながら
「《聖典》に書いてあることは絶対だからね」
「聖典?」
ヘルが持っている本が《聖典》であると話、その聖典では起こる未来が記されているようです。
ケルベロスがあの場で死んだことも君彦がここに来ることも全て聖典に記されていました。そして何よりもその聖典では一年後までの出来事が記されています。
「たとえば今から約一か月後、キミはずっと憧れていた日常を取り戻し、普通の高校生活を送ることになる」
「あり得ない。あの名探偵がそう簡単に俺を解放してくれるはずがないだろ」
「それから一年後、キミは助手というよりも今度は探偵の立場になって、様々な問題を解決へ導くようになっていく」
「それもあり得ない。俺はいつだってシエスタの助手でしかないんだよ」
「忘れられた心臓の記憶、時価三十億のサファイア、そして名探偵が残した遺産――もしキミが一年後これらのキーワードを覚えていたら、答え合わせになるんだけどね」
「だからさっきからなんの話をしている?お前は何を言っているんだ?」
「《巻き込まれ体質》だったかな。でもボクはキミのその体質、少し違うと思うんだよね」
「なにを言っている?」
「キミのそれは、物事を変化させ、事件を引き起こす力――キミが、キミこそが世界の中心なんだよ」
そしてヘルは君彦をパートナーとして再度誘いますが、君彦は断ります!ですがヘルは焦ることなく「それもいい。そもそも聖典によればキミがボクのものになるのはまだ先みたいだからね。」と言い、君彦に見せたいものがあると言います。
次の瞬間、ヘルが部屋の電気を点けると、そこには鉄檻の中に爬虫類のような巨大な化け物が居ました!
「《生物兵器だよ》」
「こいつでテロでも起こそうってのか?このロンドンで」
「その通り。それが《聖典》に記された未来の歴史であり、神の救済なんだよ」
過去~生物兵器ペテルギウス~
「その化け物は、人間の心臓を喰うのか?」
「へぇ、本当にキミは勘がいい。やっぱり、ボクの相棒に相応しいよ」
そういいヘルは化け物の下へ向かい、ヘルがケルベロスの左胸から引き抜いた黒い鉱物を生物兵器の左胸に押し込みます!
「《ペテルギウス》、お仕事の時間だよ」
ペテルギウスと呼ばれた化け物は、今まで抑え込まれていたストッパーがはじけたように興奮し、全身を鉄檻に強く打ち付けます。ヘルは「まったく騒がしいなぁ」と言い、抜刀したサーベルでペテルギウスを目にも止まらぬ速度で突き刺します!
「少しは大人しくしてて、ね」
「こんな怪物を野に解き放とうってか?……正気じゃない」
そこで君彦は隠していた針金で手枷の錠を解き、自由になります!そして――
「お前は今ここで止める」
「だから、どうやって?武器も持たないキミに、一体」
「そっちこそ、何を勘違いしている?いつ、俺がお前を止めると言った?」
すると暗闇に差す一筋の光のような声が聞こえてきます!
「――助手!!」
だんだんと声は近づいていき
「ねぇ!助手……助手がいない……どこ!助手は!助手…いない、助手……っ!」
そして次の瞬間、轟音と共に現れたのは、巨大なロボットに乗ったシエスタでした!壁を破壊しながら部屋に入って来て、シエスタは君彦を見てお互い十秒ほど見つめ合い
「ふぅ、まったく世話が焼ける助手だね」
「今さらクールぶるのは無理があるぞ?」
過去~シエスタVSヘル
君彦は改めてシエスタが乗ってきた人型戦闘兵器に目を向けます。大きさは《ペテルギウス》よりも少し大きく、機体の頭部はガラス仕様となっておりシエスタの姿が見えました。まさしくロボットアニメに登場するような機体であり、君彦はシエスタに疑問を投げかけます。
「シエスタお前、こんなものどうやって調達してきた……?」
「…いや、なんか、道に落ちてて?」
「嘘つけ!こんなもんが道端に落ちてるわけあるか!」
シエスタは助手がさらわれたことで、イギリス軍が秘密裏に開発を進めていた人型兵器《シリウス》を借りて来たようです。
そしてヘルとシエスタは互いに臨戦態勢をとります!君彦はシエスタに拾われコクピットの中に押し込まれ、戦闘へ挑みます!
「私が右サイドを担当するから、君は左を動かして」
「いきなり操縦を任せるな!普通自動車免許も持ってないんだぞ」
コクピットの中は狭いのでシエスタは無理やり君彦に操縦を任せます!君彦は納得しませんでしたが渋々了承し操作を試みますが、あっけなく期待はバランスを崩し倒れこんでしまいます。
「仕方ない。やっぱり私が操縦する」
そういいシエスタは狭いコクピットの中で、君彦の上に乗っかり体勢を整えレバーを操縦しました。
「この機に乗じて変なとこ触ってきたら軽蔑するから」
「助手への信頼度ゼロかよ」
そしてペテルギウスの上に乗ったヘルと人型兵器はぶつかり合います!シエスタの操縦する《シリウス》は強力な兵器を搭載しており、ヘルは接近戦は分が悪いと悟り、地下へと逃げていきます。
「シエスタ、逃がすな!奴の狙いはあくまでも街にあの化け物を解き放つことだ!」
「分かってる。やることないからって急に解説キャラを気取らないで」
「理不尽だ…」
ペテルギウスは逃げていき、外の巨大な時計台まで駆け上っていきました。そしてペテルギウスとヘルが時計台の上に立つとペテルギウスの口が開き、『毒の息』を放出しようとします。
シエスタの乗る《シリウス》はなんとか間に合いましたが、シエスタは君彦にあることを告げます。
「今から、何があってもすぐにこの場を離れてね」
そして急にコクピットのハッチが開き君彦はシエスタによって外へ放り出されます!気づけば君彦はパラシュートで夜空に浮かんでおり、シエスタの真意を聞く前にただ眺めているだけしか出来ませんでした。
次の瞬間、夜空にそびえる時計台の頂上で怪物とロボットが組み合い、そして両者とも地上へ落ちていく光景を君彦は目にします。
「シエスタ、なんで…」
過去~怒ってくれてありがとう~
夜の街に大きな火柱が立っており、君彦は一目散にその現場へと足を運びます!
「シエスタ…おい、シエスタ!…どこだ、どこだよ…シエスタッ!」
煙と熱風で目も開けていられない状況で君彦は必死にシエスタを探します!そして――
「…バカか、君は」
そこには自慢の白い肌を煤で汚し、痛々しく血を流したシエスタが立っていました!
君彦は駆け寄り、思わずその小さな身体を抱きしめます!
「なんでこんな無茶をした…なんで、俺一人を逃がした」
「…いや、あくまで最終手段としてだよ。私だって、ここで死ぬつもりはなかった。でも、もしワタシたちのどちらかしか生き残れないとしたら、私は――」
「ふざっけんな!」
心の底から怒鳴った怒声に、シエスタの青い瞳が大きく見開きます。
「勝手に悟ったようなこと言ってんじゃねぇぞ。いいか?三年前、あの飛行機の中で、一万メートルの空の上で、お前が俺を誘ったんだ。だったら最後まで…最後の最後まで、俺の面倒を見やがれ。あのなぁ、悪いが俺は、お前抜きで《SPES》から逃げきれる自信はねぇんだよ…お前がいないと俺は生きていけないんだよ!分かったら、最後まで責任もって俺のことを守りやがれ!」
君彦は、俺を守るためにお前も死ぬなという、世界一ダサい怒り方をします。それを聞いたシエスタはこんなことを言う助手を笑い、すっと視線を向けて――「誓うよ」
「私は、君に黙って勝手に死ぬような真似はしない――絶対に」
怒ってくれて、ありがとう。そう言いシエスタはまだ生きているヘルに目を向けます!
「ハァ…ハァ、まだ、だ。ボクはまだ、死ねない…こんなところで……」
燃え盛る炎の向こうから、黒煙を纏いながらヘルが出てきます。
「最後に勝つのはこのボクだ。でないと、これをお父様に与えられた意味が……!」
この時初めてヘルが本当の感情らしきものを見せます。そしてシエスタは「そうか、君は」と何かを悟ります。
そしてヘルは軍刀を構え、紅い目を血走らせ、立ち尽くしたシエスタに向けて
「キミはそこから一歩も動けずボクの刃に貫かれる……!」
と言い、シエスタに向かって突進していきます!
君彦はシエスタに「逃げろ!」と言いますが、シエスタはまるでアスファルトに足が張り付いたかのようにびくとも動きませんでした!
そしてヘルがシエスタに向けてサーベルで貫こうとすると――
「……………………は?なん、で……」
ヘルは、自らの胸に紅い刃を突き立てていました!
君彦はシエスタをよく見ると、シエスタの胸元のチェーンについた手鏡を見つけます。そしてヘルは自らの紅い目を見て、『キミはボクの刃に貫かれる』と言ったのだと推理します。
「どうして、ボクが負けて……。こんな、はずじゃ……。ボクには、使命があって戦って……。……使命?なんのために…なんのために、ボクは、生まれた?ボクは、どうして……」
「その答えは、地獄で見つけなさい」
そうしてシエスタが、うなだれたヘルの首に刃を振り下ろそうとした瞬間!!
ヘルの身体が急に消えていきます!!それはまるで《カメレオン》のように透明のマントで隠されたように姿が見えなくなっていきます。
「シエスタ、あれもヘルの能力か?」
「いや、たぶん違う。仲間だよ」
こうなってはもうヘルを追うことは出来ないと踏んで、シエスタたちは痛み分けという形でその場を終えることにしました。そしてシエスタは突然、顔を歪めその場で倒れてしまいます。
過去~死闘の後~
「…はむ。…ん…んぐ。…う~ん。このリンゴ、密が少ない」
「食べさせてもらっている上に文句を言うな」
あの死闘から数日後、シエスタは全治二週間ほどの怪我を負いました。そして君彦たちは改めてロンドンに拠点を置き、ヘルを追う前に体の完全な回復を待つことにします。
「キミ方は大丈夫?」
「こうしてわがままな相棒の世話をかいがいしく焼けるぐらいには平気だ」
普段、家事はすべてシエスタに任せていた君彦でしたが、シエスタが体を治している最中は、家事を全て一人で行っていました。
「君の憧れの同棲生活だよ、少しぐらい楽しんでもいいんじゃない?」
「同棲とか言うな。戦略的同居だ」
「それに君はもう少し生活力を磨いたほうがいいよ。私が居なくなったらどうするの?」
君彦は家事が苦手でした。その為シエスタに全部やってもらっていたのです。
そして注意を受けた君彦は、ふらふらと立ち上がります。
「ん、どこか出かけるの?」
「あ、スーパーだけど」
「?今朝必要なものは買いだめしてきたって言ってなかった?」
「密の多い奴がいいんだろ?」
それを聞いたシエスタは、ぷっと吹き出し笑います。そして笑いをこらえるように、やがて絞り出すような声で――
「君、私のこと好きすぎじゃない?」
君彦は恥ずかしながら、「うるせ、ばーか!」と言いドアを蹴り飛ばしながら出ていきます。
「くっそ、二度と甘やかしたりしないからな」
と言いながら、スーパーに向かうべく外へ飛び出しました!
そうして買い物に出た君彦は、ベイカー街と呼ばれる大通り近くの路地裏で――迷子の少女を拾います。
インターバル
時は現在に戻ります。
「さてじゃあここで一度映像を止めようかな」
画像が切り替わりシエスタがモニターに現れます。
すると夏凪とシャルは君彦を見て――
「いや…、これもこれで十分見せつけられた感すごいんだけど?」
「ずっとこの調子だったのよ、マームとキミヅカ。腹立たない?主にキミヅカに」
シエスタと君塚のラブラブぶりを見て、夏凪とシャルは意気投合します。そして斎川も頷いていました。
そんな君塚はみんなにからかわれますが、話を変えさっきの映像で気になる点を言います。
それはヘルが言っていた予言のことでした!君塚が一か月後高校生活に戻ること、探偵の立場になって事件を解決する事、忘れられた心臓の記憶、時価三十億のサファイア、名探偵が残した遺産。
全てヘルが言った通りになっていました。
まだ疑問が残る中、モニターに映っていたシエスタが次の映像を流そうとします。
「もう映像は止めないから。それじゃあ、見届けてね。私が――そして彼女たちが、どういう結末を迎えたのかを」
【探偵はもう死んでいる】原作2巻を読んで見た感想!
以上「探偵はもう、死んでいる」2巻のネタバレ前半でした!
物語は過去編に突入し、シエスタと君彦の過去が分かりましたね!シエスタの助手となった君彦はまだ中学生でしたが、いろいろと経験しているということが分かりました!《SPES》に関しても幹部であるヘルが登場したので、ヘルに関しても何かしら謎が深くありそうです!
次巻➡【探偵はもう死んでいる】2巻ネタバレ・感想後編!をご覧ください!
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【探偵はもう死んでいる】キャラクターまとめ
主人公サイド | ||