【探偵はもう死んでいる】原作6巻ネタバレ・感想後編!シエスタの過去

探偵はもう、死んでいる。
オレンジ
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どうもオレンジです。

「たんもし」こと「探偵はもう、死んでいる。」原作6巻ネタバレ・感想をしていきます。

6巻前編では、君彦の過去としてダニー・ブライアントという新たな人物が登場しました。また《連邦政府》にいるアイスドールという人物も登場しました。シエスタと君彦が探偵と助手となる前の過去編ということでどうやって繋がるのかが楽しみですね。

ボリュームが多いので前編・後編の2記事でまとめています!今記事は原作6巻のネタバレ・感想の 後編記事です。

前編⇒原作6巻ネタバレ・感想前編!君塚の過去!

「探偵はもう、死んでいる。」のまとめページはコチラ

注意

・ここからはネタバレを含むのでご注意ください!

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【探偵はもう死んでいる】6巻ネタバレ・感想、後編

では「探偵はもう、死んでいる。」の原作6巻の内容を簡単にですがネタバレしていきます!

今記事は原作6巻の後編の記事です!

前編記事はコチラ➡原作6巻ネタバレ・感想前編!君塚の過去!

5月1日 シエスタ

シエスタと君彦はダニーを捜索するために、まず君彦の持ってきた絵画の描いた本人に会いに行くことにします。

その為にまずシエスタは《黒服》から過去3年間で行われた裏取引の情報を入手して、君彦が持っていた絵画を販売していた画廊へと君彦と一緒に行きました。

「着いた。彼女はここにいるよ」

そこは入り組んだ路地裏に建つビル二階の場所で、偶然では絶対に辿り着けない場所にあるお店でした。そこに二人は足を踏み入れます。

中に入ると明るい部屋に額縁に入った絵画が並んでおり、部屋の奥から三十代前半ぐらいの白人女性が出てきます。

「お宅が取り扱っている贋作について少しお話を伺いたくて」

シエスタがそう女に言った瞬間、画商の女―クローネの顔が明らかに引きつります。

「…あなた、何者?警察、じゃないわよね」

シエスタは君彦の持ってきた絵画は贋作であると見抜いており、この絵画をどうやって入手したのかについてクローネに訊きます。

「ワタシは画家の名前ではなく、その技術を買う。芸術にも、本物を求めたいから」

クローネは君彦が持っていた絵画は確かにレプリカですが、そのレプリカを本物のように模倣して作られた技術に値段を付けて売っているようです。

そしてクローネとダニーの関係はビジネス上の知り合いだったようで、元々はダニーが「特別な技術で絵を描く人間を知っているから、その人物から絵を買い付けてくれ」と頼まれたようです。

「さて、それで?あなたたちがここへ来た目的は達成された?違法に贋作を取引したのは事実だから、通報すると言われたら私は従うしかないけれど」

「いえ、それは私の仕事じゃないから。それより最後に一つ、訊きたいことがあるの」

シエスタはクローネに一番知りたかった答えを求めます。

「あの贋作を描いた人物の居場所を教えてくれない?」

こうして二人は、絵画の描いた画家の居場所を入手し、さっそく向かうことにします。

目指す場所は北陸地方で、シエスタと君彦はホテルで一泊することにしました。

「月華、お前は何者なんだ?」

ホテルで君彦はシエスタにその正体を訊きます。

「月華はなぜダニー・ブライアントの情報を集めようとしている?それはあんたの意思か、それとも誰かの指示か?」

「少年の二つの質問に対する答えは、一つだよ――私はある指令を受けて、ダニー・ブライアントの調査を行っている」

「月華自身がダニーに用があるわけではないと?」

シエスタはそれに正直に頷きます。しかしシエスタはそれ以上詳しいことは君彦に話しませんでした。ただ一つだけ君彦に約束をします。

「少年が協力をしてくれる限り私は報いるし、少年が助けを求めてくれたら私はそれにいつでも応えよう」

こうして二人の間に協定が結ばれました。

5月2日 君塚君彦

ちょうど日付が変わった頃、君彦のスマホに着信が入ります。

『よお。お前、こっちに来てるだろ?』

相手はダニーからで呆れたような声でした。そしてダニーは君彦になぜここまで来たのかを告げます。しかし君彦はダニーへの答えをはぐらして伝えます。そして逆にダニーが今どこにいるのかについて訊きます。

「あんたの言う厄介な仕事とはなんだ?最近、誰かに追われている事と何か関係があるのか?」

『なぜ今さらそんなことを訊く?今までおれたちはそんな真面目な話はしてこなかった。干渉もしてこなかった。それがルールだ。』

ダニーは君彦に過去に誓ったルールに対して何故心変わりをしたのかについて訊きます。それの対しての君彦の答えは…

「俺はただ、俺をこういう性格にしたあんたの身に、今なにが起きているか知りたいだけだ」

すると数秒の沈黙の後…

「…合流は二十時間後だ」

場所は追って連絡する、とダニーは告げ二人は会う約束をします。

5月2日 シエスタ

早朝にシエスタと君彦は、クローネから聞いた例の贋作を描いたという画家の家へと向かいます。そして電車とバスを乗り継ぎ、見えてきたのは白い教会でした。

中は児童養護施設のようになっており、子供たちの声が聞こえてきます。

そして白い建物着いた二人は、車いすに座っている70歳ぐらいの白い髪をした凛々しい老年の男性には話を掛けます。

「いつか来るのではないかと思っていました」

その老人はジキルと名乗り、この施設の管理者的な立場にいました。ジキルはシエスタと君彦を怪しがるわけではなく、むしろ歓迎するように中へと入れてくれます。

「グレーテの絵に興味がおありで?」

シエスタたちがここに来た理由でもある、絵画を描いた画家の正体は、この施設に暮らす子供のようでした。

実はこの施設は『太陽の家』といわれており、生まれつき特殊な力を持っている子供が集められている施設です。その子供であるグレーテの力は完璧なまでの精緻なコピーを描けることでした。その他にも演算が得意な子供がいたり、短時間で複数の言語を理解したり、目でみた光景を一瞬で把握したり」などの特別な子供たちが暮らす子供がいます。

そしてダニーがここではどういった関係なのかを訊くと――

「ダニー・ブライアントこそが、グレーテに絵の技術を磨かせていた張本人ですよ」

ジキル曰く、ダニーは以前からグレーテのような特殊な事情を抱える子供を保護する活動をしており、普通の世界で生きていくのには少し困難を抱える子供を一人でも生きていけるようにしていました。

なのでグレーテにお金を稼ぐ術として贋作を作り出させたりしていたのです。

ですが、ダニーがこの施設に顔を出したのはちょうど1年前ほどであり、そこからは一度も顔は見せていないようです。

ここまで聞いたシエスタは、君彦に今まで一緒に居たことで何となく気づいていたことを訊きます。

「少年は、ダニー・ブライアントが今どこにいるのか、本当は知っているんじゃない?」

確証はありませんでしたが、シエスタは君彦の行動原理を考え、十分に推測される仮説として君彦に尋ねます。

すると君彦は顔色を変えることなく、ただ一度だけ浅く息を吸って告げます。

「ああ。ダニー・ブライアントは――一年前に死んでいる」

5月2日 君塚君彦②

「ダニー、今どこにいる!」

ようやく繋がった電話口に君彦は叫びます。君彦は指定された時間と場所にダニーが現れず、何度も電話を掛け続けようやく繋がったばかりでした。

『…よお、焦ってるなあ』

聞こえてきたのは、どこか息の荒いダニーの声でした。そして『一つ、お前に教えとくことがある』7とダニーは言います。

『人生ってのは、どうしてこうも上手くいかないんだと、残酷なんだと、絶望する日が必ず来る』

そしてダニーは続けます。

『だがたとえ一つの生き方が失われても、また新たな生き方を選ぶことはできる。いや、そうやって生きていかなくちゃならねぇんだ、おれたちは』

そして『悪いな、時間切れらしい』と君彦に告げます。

「っ、なにを言ってる!ダニー!」

『いいか、キミヒコ』

ダニーはこの時初めて、君彦の名前を呼びます。

『お前は、生きろ』

直後、銃声が鳴り響きます。そしてそれが、最後に聞いたダニーの声でした。

5月2日 シエスタ②

「そうして一年前、ダニーはおれの前からいなくなった」

君彦はここまで隠してきたダニーについてシエスタとジキルたちに伝えます。

「敵の正体は?」

「さあ、見当もつかない。…ただ、あいつは色んな人間を敵に回すような仕事もしていた。その誰かに恨みを買った可能性は十分ある」

ダニーは反政府組織によって殺害された可能性が高いとシエスタは予想するも、まずは本当にダニーが死んでいたのかについて訊きます。

「…さあ、どうだろうな。だからこそ、月華に期待していた部分もあった。死んだと思っていたダニーの居場所を探っている謎の警察官…と思いきや、その正体は組織の命令で動く怪人二十面相。何か秘密を握っているんじゃないかってな」

君彦はダニーの死について何か知っているのではないかと思って、ここまでシエスタに協力してきました。ですが結局はまだ何も見えては来ませんでした。

その後、君彦はなにか一人で考えたいことがあるらしく、ジキルの計らいで施設にて一泊することになります。

一方シエスタは、施設を離れ宿泊していたホテルへといくつかの仕事のために戻ります。

「久しぶりに一人だ」

シエスタは疲れたのか、下着姿のままベッドに横になり倒れこみます。アイスドールへと報告をしようとしますが、まだ情報を整理してからにしようとしていつの間にか眠りに就いてしまいます。

『―――あ、やっと出た』

すると枕元のスマートフォンから女の子の声が聞こえてきます。どうやら無意識で通話ボタンを押したようで、しかもそれはテレビ電話でした。

「ああ、ミア。久しぶりだね」

『ええ、一週間ぶり…ってセ、センパイ?その格好…』

ミアは顔を赤らめながら、下着姿のシエスタを見ます。

「ごめんごめん、ちょうど着替えようとしていたところでね。それでなにか用だった」

『―――ええ、《聖典》に書かれた未来が変わる可能性を遂に見つけたかもしれない』

するとミアから真剣な声が聞こえてきました。

「その可能性って、まさか特異点シンギュラリティについて?」

《特異点》――《聖典》に定められた運命を変える唯一の存在。

その《特異点》の正体を、ミアは視たとのことでした。そして正体を知ったシエスタは―――

『…センパイ?』

「ううん、大丈夫。ただ――」

――本当に最近よく聞く名前だなと思ってね。

5月3日 君塚君彦

君彦は朝、目が覚めると月華ことシエスタから電話が着ます。内容は、大事なことが分かったとのことで、会って話すとのことでした。

電話の後、君彦はシエスタからの折り返しの連絡を待っている間、自宅へと帰る予定でしたが、その前にグレーテから大事な話があると呼び出されます。

「実はこの本棚を動かすお手伝いをしていただきたく、あなたに来てもらったのです」

君彦は大事な話だと思っていた所、内心ため息をつくも協力します。しかし本棚はびくともせず、グレーテは「奥に、押してくれませんか?」と言います。

すると本棚が周り、からくり部屋のようにまだ見ぬ場所が現れました。

「この施設、そしてこの空間は元々、ダニー・ブライアントの隠れ家としての役割も果たしていました。随分と無茶をする男だったゆえに敵も多かった」

ジキルは君彦も知っている通りのダニーの人物像を口にします。そしてジキルは奥の壁へと行きそこで立ち止まります。君彦はなぜそうしたのかとよく見ると、それは壁ではなく巨大な金庫でした。

「この金庫には、ダニー・ブライアントが死の間際まで秘蔵し続けた、ある仕事の機密情報が残されています。そして私はあの男にこう言いつけられていた。『いつか必ずこのパンドラの箱を開ける子供たちが現れる』と」

そう言ってジキルは、車いすから君彦を見つめます。

そしてジキル曰く、一年前、ダニーが失踪してから、この施設にある封書が届きましたようです。そこには暗号らしい数列があり、ジキルはそれを天才的な子供たちの手で解読してもらい金庫のダイヤルキーを入手しました。

しかし、それだけでは金庫は開きませんでした。そこにはもう一つ小さな錠があったのです。

「言いたいことは、お分かりでしょうか」

「…おかしな話だな。あいつの家族じゃなかった俺が、そんな大事なものを託されているはずがない」

しかしジキルはここで君彦の記憶になにかヒントがあると予想します。それに君彦は何か引っかかるものを思い出します。

「今その答えを聞くつもりはありません。ただ自らの胸にしまって、やるべき事をおやりなさい」

そう言ってジキルは君彦の背中を押しました。

「大いなる冒険の末に隠された秘密を解き明かす。その使命を担うのは、いつだってあなとのような若者です。老兵はただ、それを見守ることしかできない」

5月3日 シエスタ

君彦と別れたシエスタはホテルで一泊した後、北海道へと向かっていました。それはとある仕事の為です。

シエスタがなぜそこまで足を運んだのかというと、調律者である《情報屋》ブルーノに情報を聞きに行くためでした。偶然日本へと滞在していたことで、シエスタは会いに行きます。

「さて、それで?名探偵さん、なんでも私に訊きたいことがあるということだったが」

ブルーノはワインを飲みながら、シエスタにここに来た理由を尋ねます。

「ダニー・ブライアントについてです。一年前、ダニー・ブライアントは何者かによって殺害されました。そんな彼の敵が一体誰だったのか、教えてもらえませんか?」

シエスタはダニーという人物とその男が既に死んでいることを前提にブルーノに話しかけます。

「情報とは武器だ。それはどんなウイルスよりも、核兵器よりも恐ろしい。ゆえに情報を持つ者はその責任を自覚し、常にその取扱いに関して最新の注意を払わなければならない」

ブルーノは情報の大事さを話し、それを分かっている名探偵に今さらなぜ自分に情報を求めるのかについて問います。

「今、私がこの情報を知ることによって、必ずいつか世界のバランスが保たれる」

「その情報がいずれ世界の危機を救うことに繋がると?何故そう思う?」

シエスタは次の答えですべてが決まると思い、頭を下げて、シエスタは今まで逆に持っていなかったものを答えに出します。

「私はこれまで最も知りたいと願った情報を、あなたに尋ねたことはありません。そんな私が本来の職務でもなく、ただ、出会ったばかりのたった一人の少年のためにこうして頭を下げている。その覚悟が、今の私が示せる答えです」

そしてさらにシエスタは追い打ちを掛けます。

「あなたがその情報を分け与えることで、救われる少年が一人いる。彼はいつか、この世界の中心軸をずらすシンギュラリティになる」

それを聞いたブルーノは口を開きます。

「――ある、正義を自称する自警団がいた。世界に流通する通貨の単位をコードネームに持つ彼らは、ある巨悪を討つために一堂に会したそうだ。その巨悪の名を、ダニー・ブライアントという

そうして、世界の知識が語りだします。

5月3日 君塚君彦②

ジキルからダニーが残した金庫の話を聞いた君彦は、その足で自宅へと戻ってきていました。

そして君彦はダニーが残した金庫のカギが家に残されているかもしれないとと思い、ダニーが旅の過程で集めていた土産物を集めます。君彦はその中にある、陶器で作られた打ち出の小槌に目を向けます。その小槌は一年前ダニーが北陸の地で消息を断ち、その三日後に郵送で送ってきたものでした。

「―――あった」

それを君彦は床に落として割ると、中から一本のカギが出てきます。

するとふいに君彦のスマートフォンが鳴り、その通話ボタンを押します。

『あ、もしもし?ええと、君塚くんの電話番号であってる?』

「…あんたは、この前の画商の?」

電話の相手は二日前に会ったクローネでした。

『実は、あれからどうなったのか気になっちゃってね。その、ワタシも無関係というわけではないから』

クローネとダニーはビジネス仲間であり、絵画のこと以外で何か情報が掴めるかもしれないと思い、君彦は太陽の家と金庫のことに関して、クローネに話します。

『なるほど、そういうこと…ごめんなさい、まったく知らなかったわ』

「そうか…。いや、大丈夫だ。今から俺も太陽の家へと行く」

そして君彦が家を出ようとすると――

「いえ、その必要はないわ」

扉を開けるとそこには、クローネの姿がありました。

「だって今から、ワタシもそこに行くところだったもの」

その刹那、君彦は意識をなくします。

5月3日 君塚君彦③

気が付くと君彦は暗闇の中にいました。

そしてだんだんと暗闇に目が慣れてくると、そこは太陽の家であることが分かります。

「何が目的だ、クローネ」

暗闇の中動く影に君彦はそう尋ねます。

そして月の光を浴びながらクローネが現れます。

「ごめんなさいね、手荒な真似をしてしまって」

クローネは君彦を見つめながら謝罪をします。

「…っ、クローネ、お前は一体誰だ?」

「ワタシ?ワタシはただの正義の味方」

クローネはハイヒールを鳴らしながら歩き、君彦に話します。

クローネの正体は、かつてダニーの敵であった秘密の組織の一人です。

そしてクローネの目的は、ダニーが隠していた『秘密』である、金庫の中身を確認することでした。

「鍵か」

君彦はクローネが『秘密』を処分するために、金庫の鍵を捜していることを察します。もちろんその理由で君彦を襲いましたが、クローネからは意外な回答が返ってきます。

「あなたの持っていたあの鍵は偽物だった」

そしてクローネは「他に心当たりはない?」と訊きますが、君彦には分かりませんでした。

「どうする?俺はもうあんたにとって用済みだぞ」

「…ええ、そうね。確かにあなたも、そして施設の子どもたちも、本物の鍵は持っていなかった。いや、持っていないように見える

クローネはダニーが必ず子供たちにヒントの種を残していると考えていました。彼らの記憶のどこかにそれが眠っていると…

「けど、それがどうした?本当に子供たちが無意識のうちに鍵の在処を知っていたとして、それをどうやってあんたらは知る?脳でも切り開いて確認するのか?」

「ええ、それもいいわね。」

クローネは君彦の趣味の悪い冗談に顔色一つ変えずに応えます。そして「いずれは海を渡って孤島へ行こうと思ってね」と君彦に言います。

どうやらそこには脳の研究をしているのクローネの仲間がいるようでした。そして脳の特定の記憶領域に干渉して記憶を引きずり出そうと考えています。

「…っ、子供たちを集団誘拐でもしてそこへ連れていくと?無茶苦茶だ。あるかどうかもわからない記憶を調べるためにそんな大掛かりなことを…」

「目的ならもうひとつあるわ。その孤島ではある治験が行われているの。ワタシたちの仲間はそこの主治医で、この施設の子どもは特別なサンプル。あの子たちであれば、きっといい器になる

クローネは薄く笑いながら、本気でそう言います。

「クローネ。なぜお前は…お前たちはダニーを殺した?」

クローネは「強い子ね」と言い、君彦に話しかけます。

ダニーはクローネの組織のある『秘密』を持っていたことで組織から追われていましたが、ダニーはいつも紙一重で逃げ回ることに成功していました。しかしダニーが大切にしてきた『太陽の家』を人質に取られたことで、ダニーはクローネに始末されてしまいます。

しかしダニーは『秘密』を一人で抱えたまま死亡したわけではなく、その『秘密』に至るまでのヒントを金庫に隠していたことが判明しました。

ダニーは自分が死ぬことも考えており、犠牲になってまでも『秘密』を守り抜いたのです。

「そこまで考えた上で、ダニーは…」

君彦はなぜダニーが血縁関係もない施設の子どもたちを守って、死んでいったのかを疑問に思います。

「自分の娘の代わりにしてたんでしょう」

ここでクローネから衝撃的な発言が出ます。

5月3日 君塚君彦④

ダニーがそんなことも君彦に話していなかったことに呆れたクローネでしたが、そのすべてを話してくれます。

十年前のダニーは妻と娘との三人暮らしでしたが、色々あり離婚。そして娘を引き取り男で一つで大切に育てあげました。

またかつてのダニーは私立探偵という何でも屋のような探偵の仕事をしており、そんな時にある新興宗教グループのトップを捕まえます。捕まった教祖の男は悪魔祓いとして子供たちを殺戮する連続殺人鬼でしたが、同時に大財閥の御曹司でもあったため、法で裁かれることはありませんでした。

ただそれで話は終わらず、その教祖の男はダニーに逆恨みをし、ダニーの娘を殺害します。

その娘の姿を見たダニーは泣き叫び、その後は姿を消します。

そして一年後、ダニーは世界の恵まれない子供たちを保護する活動を始めました。

「なぜあんたがダニーの過去を知っている?よそ者の、お前が」

「ダニー・ブライアントの娘を殺したのも、ワタシの仲間だったから」

それを聞いた君彦は全てを察します。

「でも安心して・彼はすでにこの世には…」

「お前はもう喋らなくていい」

君彦はクローネに駆けだそうとしますが、どうやら体に薬を撃たれていたようで上手く立てませんでした。しかしなんとか踏ん張って腕を振り上げます。しかしそんな君彦にクローネは「ああ、可哀想に」と一言声をかけます。

「ダニー・ブライアントが作った偽物の家族。その中にすらあなたはいなかった。だから今、あなたはそのやり場のない怒りの衝動に身を任せ、泣いているのね」

そしてその瞬間、広間の窓が大きな音を立てて割れます。

そこから現れたのは、フードのついたマントを被り、顔には猿のような獣のお面を装着した、右手に血塗られた斧を持った人物が現れます。

「この可哀想な子羊を介錯してあげて。《バーツ》」

《バーツ》と呼ばれた獣の仮面をした人物は、斧を片手にクローネと君彦に近づいていきます。

君彦は無意識に目をつぶり、今の状況をなんとか打破する手を考えます。しかしどうしても何も浮かばず覚悟を決めて目を開くと…

フードを被った獣の人物が、クローネを蹴り飛ばしていました。

そして《バーツ》と呼ばれていた人物は、フードと獣の仮面を取ります。

「美人だな」

君彦は「ありがとう」でも「お前は味方なのか」でもなく、そんな一言を声に出し、仮面を外した人物は微笑みながらこう言います。

「月華さんだからね」

5月3日 君塚君彦⑤

「どうして、お前がここに…!」

蹴り飛ばされたクローネは、数メートル引き飛ばされ床に転がりながらも、ゆっくりと立ち上がりそう言います。

「私の不意を突くつもりだったようだけど、実は直前にある物知りな知り合いな人から敵の居場所を聞いていてね。彼が武器を手にしようとした頃には、私は既に勝利の準備を終えていた」

どうやら君彦の知らないところで、シエスタは《バーツ》と呼ばれる人物を退治していたようです。

そしてシエスタはクローネに銃を向け、クローネの右肩を撃ち抜きます。

「ッ!アアァ!」と悲鳴を上げるクローネでしたが、その瞬間――

周りから爆発音が鳴り響き、床が割れ、黒煙と炎が広間に広がっていきました。どうやらクローネは撃たれる前にあらかじめ部屋に用意していた爆弾の起爆装置を起動させていました。

「これでいいと思う?」

炎の中でクローネは、君彦に語りかけます。

「君塚君彦。ダニー・ブライアントを止められるのは今、あなたしかいない。ワタシが今日ここですべての事実を話したのは、ある真実を伝えるため。ダニー・ブライアントが隠していた『秘密』とは、本来決して人の目に晒されてならないもの。ワタシたち自警団は、それを防ぐために彼と戦い続けていた」

君彦は「何を…言ってる?」というも、クローネは続けます。

「ダニー・ブライアントは、ギフテッドや家庭に事情がある子供たちをこの施設に保護していたわけではない。本当は、親の了解も得ずに誘拐をしていた

「少年聞く必要はない!」とシエスタは君彦に言うも、クローネはさらに続けます。

「ダニー・ブライアントは、罪なき子供たちの誘拐とその先を考えていた。ワタシたち自警団は、ダニー・ブライアントのそんな計画を止めるために存在する必要悪だった」

ダニーの目的は、一人娘を殺されたことによる復讐です。そしてただの復讐ではなく、娘を見殺しにした国家そのものまでダニーは復讐を向けていました。その為の手段として、ダニーは特殊な力を持つ子供を集め、国家に反逆しようとしていたとのことです。

なので、クローネは1年前にダニーを殺したのは正当なものだったと主張します。

「…っ、なぜダニーがそんな誘拐を企む?あいつは、何よりも子どもを大切に思っていたはずじゃないのか?」

「愛はね、時に歪むのよ。ダニー・ブライアントは愛した一人娘を失い、その彼女のために生き方を変えた。そうしている内に彼の中では愛と死がいつの間にか混然とし始めていた。なにが目的でなにが手段か、それを失っていたのかもしれない。でも、ダニー・ブライアントにとってみれば、愛すべき子供らを自分の手でけがすことに、なんの矛盾もなかったのかもしれない」

君彦は徐々にクローネの言葉に洗脳されていきます。

「ダニー・ブライアントを父のように慕いつつも、恨みを抱いたことはない?なぜ自分を見てくれないのか、と。なぜ自分だけは家族の一員になれないのか、と。なぜ自分を置いて死んでしまったのか、と。」

そしてクローネは君彦の耳元で囁きます。

「君の、ジャケットの内ポケットにそれは入っている。そのポケットに入っている起爆装置。それですべてを終わらせることができるわ」

君彦はクローネが悪だと分かってはいつつも、更なる悪のダニーの計画を止める為、君彦はその起爆装置のボタンに手を伸ばそうとします。

「――――私には、人の感情のことは分からない

ここでシエスタが銃で窓ガラスを割り、ついに動きます!

そして右手には拳銃。そして左手にはUSBメモリを取り出します。

「それは…ッ!」

「そう、これこそダニー・ブライアントがブラックボックスに隠していたもの」

どうやらシエスタはここに来る前、既に金庫の鍵を開けていたようです。

「君のアパートの鍵だったよ。ま、正確に言えばスペアキーに近いものかな。私が初めて君に会うために使った鍵。ある確信があってそれを使ってみたら、やっぱり開いたよ」

シエスタ曰く、ダニーは最初からこうなることを予測していたようだと言います。

ダニーは一年後に訪れる自分の死を予想して、それと同時に自分の死を追うものが現れると確信していました。そしてその人物と君塚君彦は必ず接触し、それによって自分の死後、鬱々として生きているであろう君彦は生きる意味を取り戻す――

ここまでがダニーのシナリオでした。

「ダニー・ブライアントは本当に子供たちを復讐の道具にするような人間だったと思う?」

ここで君彦は、過去にダニーに頼まれた仕事などを思い出します。ダニーの指示を受けてリストに記載されている家にひたすら電話を掛けること、そしてその家の子供を遊びにさそうこと。

「今の君なら、その指示の意図が分かるでしょ!」

ダニーは子供たちを守っていました―――虐待に合っている子供たちに味方がいるということを暗に伝えて、それ以上の問題がないように。

『未来ある子供の命は全てに優先される』

これはかつてダニーが言っていた言葉です。

本当のダニーは子供を守るために、家庭内不和が起こっているようなところに出向いていくような男でした。

そしてシエスタは君彦の居る床にUSBメモリを投げ、君彦はそれを拾い上げます。

「今度こそ、これが俺の答えだ」

君彦はUSBメモリを炎の中に投げ込みます。

「…っ、なにを!」

その瞬間、クローネは絶望の顔となり、炎の中に顔を向けます。

「最高の仕事だよ、少年」

そう言い、シエスタこと月華は薬で動けない君彦を抱え、炎に包まれる部屋を割れた窓ガラスから出て脱出します。

直後、背後で大きな爆発音が鳴り、さっきまでいた広間は炎の海に包まれます。

「…無事?」

「ああ。お姉さんに助けられるのも、悪くない」

5月4日 シエスタ

炎の中取り残されたクローネでしたが、傷だらけになりながらも、事前に彼女の仲間である医者から身体を身体能力を上げる薬を投与していたことでなんとか助かります。

そして一人、広間を脱出して森の中を走っていました。

そして手の中には、かろうじてあの爆炎から守り抜いたUSBメモリがあります。

「この中身は、まだ知られていない。『秘密』は保たれた。あとはこれをあのお方に渡すだけ…」

クローネはただひたすら仲間が用意しているはずの車へと走ります。

「そんなに急いでどこへ行く?」

「…っ、誰だ、お前は?」

クローネは持っていたサバイバルナイフを構えて、突然現れた月光に照らされた紅い髪の女に問います。

「質問したのはこっちだ。そんな黒焦げのブツを持ってどこへ行くつもりだ?」

紅髪の女性がそう言うと、クローネがUSBメモリを持っていた右手から、サラサラと黒焦げの何かが風に吹かれて消えていきます。

「――あ、れ?」

奪い取ったUSBメモリは、既に炎で燃え尽きた後でした。

「哀れだな。すでに薬の副作用で幻覚も出ているか」

クローネは何も考えられずになっており、紅髪が言った言葉も理解できませんでした。

「なあ、クローネ。お前、誰の指示でダニー・ブライアントを殺した?」

クローネは一年前、ダニー・ブライアントの殺害を依頼されましたが、その依頼主が誰だったのかまでを思い出す思考力が残っていませんでした。

「ワタシたちは、本物に、なれるはずだった」

その言葉を聞き、紅髪の女はタバコに火を点けます。

「暗黒街で育ったお前を含め、それぞれの事情で世界を恨み、そんな世界を変えようと思った、悪の自警団。」

それを聞き、クローネは過去を思い出すと共に、仲間のことを心配します。

「ダニー・ブライアントの娘を殺したお前の仲間《ルーブル》は五年前、ある男に鎌で切り裂かれて殺された。傭兵《バーツ》も名探偵に敗北した」

「《ダラー》と《レアル》は無事かしら」

「そいつらが《世界の危機》を導く存在であれば、いつかまた誰かが対応するだろう」

クローネは仲間の安否を確認し、紅髪は白い息を吐き出しながら素っ気なく返答します。

「そう。それで?あなたは、ワタシを殺しに来たの?」

「いや、アタシはお前を殺せない。アタシは罪人を殺せない。アタシが殺すのは罪のない人間だけだ」

その時、クローネの後ろから車イスの音が聞こえてきます。

「あなたは、確か…」

「子供たちを愛する優しい老父――ジキル。そんな子供たちを守るためなら悪鬼にもなる――ハイド。お前が知っているのは、どっちの顔だった?」

老人はゆっくりと車イスから立ち上がり、杖に見立てた仕込み刀を構えます。

そして一瞬のうちにクローネはその老人に斬られます。

「痛みを感じる時間などありはしないだろう。その太刀は、元《剣豪》による一撃だ」

そうして、一年前にやり残した仕事の結末を見届けに来た暗殺者は、最後の一手をかつての同志に託してました。

5月5日 シエスタ

あの事件から2日が経ちました。

あの後、施設は全焼を免れ、子供たちはみな無事でした。正義を自称する自警団のクローネとバーツは討ち取り、シエスタはひとまず太陽の家に身を置いていました。

そして太陽の家の近くの草原にて一人、果たさなければならない仕事をします。

『お疲れさまでした。コードネーム――シエスタ』

電話の相手は、《連邦政府》のアイスドールです。

シエスタは一連の事件の真相をレポートとして彼女に送っていましたが、ある記入漏れがあったことでシエスタに電話をしてきたようです。

『ダニー・ブライアントが児童養護施設に残していたいう金庫の中身が書かれていない』

シエスタは「やっぱりそのことか」と思います。とはいえ金庫の中身のUSBメモリは既に君彦が炎の中に投げ消失させてしまっています。

「すみません、まさかあなた方がそんなにもUSBメモリのデータを重要視されていると思わなかったもので」

まるでダニー・ブライアントの死についてはどうでもよく、本当はUSBメモリの中身に用があったのではないかとシエスタは推測します。

そしてシエスタはあることをアイスドールに尋ねます。

「ダニー・ブライアントは、あなた方ミゾエフ連邦が保持する虚空歴録アカレシックレコードにまつわる調査をしていたのではないか、というのは私の考えすぎでしょうか?」

クローネはあの金庫の中身は、世界の秘密である虚空歴録アカレシックレコードの調査結果だったとシエスタは予想しています。その問いに対し、アイスドールは――

虚空歴録アカレシックレコードにまつわる問いに対する回答権を、アイスドールは保持しておりません』

まるで合成音声のように答えます。

そこでシエスタは虚空歴録アカレシックレコード以外の問いをアイスドールにします。

「ダニー・ブライアントが先代《名探偵》であった事実を私に伝えなかったことに、なにか意図はある?」

これは確かな証拠はなく、シエスタの直観です。

『あなたの前に《名探偵》を務めた者が殉職をしたかもしれないとあっては、あなたも気が悪いかと思っただけのことです』

アイスドールは上手く答えます。

「そう。気を遣ってくれてありがとう。でも、その心配は必要ない。私は死なないから」

今回の件で、シエスタはあることを決めます。

「これから、仲間を作る予定なの」

ダニー・ブライアントは当時、未来を変える“特異点”の君塚君彦の存在をいち早く見抜き、自らの手元に置くことで保護してきました。そしてその使命を次の《名探偵》に託したのだと考えます。

『仲間、ですか』

シエスタの宣言を聞いて、アイスドールは薄く笑います。

「知ってる?世界を救うような物語の主人公は、いつだって少年少女だと相場は決まってるんだよ」

5月5日 君塚君彦

君彦は目の前に白い十字架のある岬の崖上で30分以上佇んでいました。

それは施設の子どもたちによって作られたダニーの墓であり、君彦は特に祈るわけでもなく、話しかけるわけでもなくその場に立っています。

「何しているの、少年」

そこに話を掛けたのは、月華ことシエスタです。

君彦はダニーについて少し触れるも、振り返ることはしませんでした。

「これで良かったんだよな、って言ったらなんて慰めてくれる?」

するとシエスタは君彦に近寄り、持っていたスマホを渡します。

「あのUSBメモリに入っていた本当のデータがここにある。この前、少年が炎に投げ込んだのは、実は私が用意した偽物でね」

「…俺が見てもいいものなのか?」

「うん。そしてそれは君だからこそ見ていいものだよ」

そして君彦はスマホの中に入っていた映像ファイルを開きます。

『よお、久しぶりだなあ。見えてるか?』

現れたのは部屋のソファーに座ったダニー・ブライアントでした。

『感動的なビデオレターを期待しているそこのお前、いますぐ期待は捨てろ』

このちょうどむかつく感じは間違いなくダニーであると、君彦は思います。そしてダニーは君彦に残しているものは財産含めて何もないと言います。そして君彦がダニーの為に出来ることも何もないと…

『おれは、おれのすべきことを全て果たした。だから余計な土産は残さない。ましてやお前がおれの仇を討つ必要もない。おれは全部やり遂げた。ゆえにお前が死者のまなざしに囚われる必要はないんだ』

そしてソファに座るダニーは、正面のカメラに向けて最後の言葉を残します。

『――家族がいないことは特別じゃない。――友人がいないことは特別じゃない。――一人で生きることは特別じゃない。――いいか、そんなものを意雨の個性にするな。――プロフィールの一端にだって加えてやるな。――いつか誰に訊かれた時に、ああそう言えば、と思い出すぐらいで丁度いい。――そう、だから大事なことはたった一つ。――お前は何者だ?

――それを問え。己に問い続けろ。――お前は何をしたくて何を望む?――その望みのために何ができて、なにを失える?――なあ、キミヒコ。――お前は明日、なにがしたい?』

ダニーは最後は笑って、このまま動画は終わります。

「今日、それを言うのか」

5月5日は君彦の14歳の誕生日です。

気付けば小さな雨が降って来て、君彦はそのまま海を見下ろしながら語ります。

ダニーは満足して死んでいった――けれどそれを受け入れられる君彦ではありませんでした。

「それならせめて、あいつ以外の人間がその死を悲しんでやらないとダメだろ…つ!あいつが後悔していないのなら、代わりに俺が後悔する…っ!だってそうだろ?こんなのあんまりだ、こんな結末は――理不尽だ…っ!」

君彦から出た答えはそんなありふれた答えでした。

「――バカか、君は」

だがその時、現実を覆すような言葉が聞こえます。

「死なない。死なないよ。ダニー・ブライアントは死んでなんかいない。その遺志を受け継ぐものがいる限り、彼は…私たちは決して死なない。君はどう生きる?彼の遺志を受け継いで、これから君は」

ダニーは娘を失い、世界中の子どもを守る生き方を選びました。そして君彦は今後どうするのかをシエスタは問います。

「…俺は。少なくとも俺は、あいつみたいな生き方はできない。誰も彼もを助けられるような力は持っていない。」

そう答えた君彦でしたが、ここで今までのダニーとの会話を思い出します。

「――せめて、この目が届く範囲の相手には手を差し伸べる。そういう人間になる」

シエスタはそれを聞き、君彦に背を向けます。

「――行くのか?」

「うん、次の仕事が待ってるんだ」

そして立ち去ろうとするシエスタに君彦はもう一度呼び止めます!

「月華!いつか礼をする。―――あんたが俺を助けてくれたように、いつか俺があんたのその仮面をぶっ壊してやる」

君彦は常に正体を隠している月華という鎧をいつか壊すと約束します。そしてシエスタは最後に振り返って微笑みながらこう言います。

「少年のくせに、生意気だよ」

ある少年の語り

「それが俺の、誕生日の思い出だ」

そうして長い長い君彦の昔の話が終わります。

「なんで…なんで、ですか。どうして君塚さんはいつも、そういう話を私たちにしてくれないんですか!」

斎川は泣きながらも君彦に怒った口調で言います。

「悪かったな、斎川。けどな、俺にとってそれは特別なことじゃなかったんだ」

「…それでも、もっと早く話してほしかったです」

斎川は俯き、小さな声を漏らしながら腰を下ろします。

「やっぱりバカね。アナタは」

今度はシャルが君彦に顔をつんと背けながらそう言います。

「月華さん、か」

そして夏凪が小さな声でその名を口にします。そして何か思い立ったかのように「――まさか、ね」と呟きました。

「でも、そっか。君塚はそうやって、いろんな人に出会ってきたんだ」

「ああ偶然じゃなくな」

「でもそれは君塚だけじゃない。あたしたちもそうなんだ。――あたしたちはそうやって誰かと出会い、繋いで、生きていくんだ。これからも、これからも」

シエスタやアリシア、ヘルなど、その遺志を受け継いだ夏凪渚は、精悍な顔つきで空を見上げながらそう言います。

「ああ違いない」

そして君彦も同じく空を見ながら、過去を振り返ります。いつかきっと月華との約束を守らないと、と。そしてそれまでは今の仲間たちと旅を続けていこうと。

四年前のプロローグ

『当機は、あと一名様のご搭乗をお待ちしています』

それは飛行機のアナウンスです。

月華ではないシエスタは、これから起こるであろう事件を解決するため、そしてある人物を待つために窓際の座席に座っていました。

君塚君彦――あの日、彼はシエスタの仮面をはがしてみせると言いました。

最初はどこか自分に似ていると思っていたシエスタでしたが、その本質は全く別物でした。どうやってそのパーソナリティが作られたのか気になり、気づけば今度はシエスタの仮面を壊すと誓っていました。

それがシエスタには嬉しかった。《特異点》という設定がどうでもよくなるほどに。

そして今日あの日言えなかった「私の助手になってよ」の言葉を言います。

「引き受けて、くれるかな」

もちろん簡単に乗れる誘いではないことは分かっています。ゆえに3回まで勧誘はすることを決めます。

「…5回にしようかな…」

すると――隣にひとり「やれ、理不尽だ」と言いながら男は座席に座りました。

それから間もなく、乗客が乗った飛行機はハッチを閉めて滑走路を走り出します。そしてしばらくするとあるアナウンスが聞こえてきます。

『お客様の中に、探偵の方はいらっしゃいませんか?』

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【探偵はもう死んでいる】原作6巻後編の感想!

以上「探偵はもう、死んでいる。」6巻のネタバレ後編でした!

今回は君塚とシエスタが出会うまでの過去編でした。ダニーが以前の《名探偵》であったり、虚空歴録アカレシックレコードという新たな単語も出てきましたね。そしてシエスタが君彦をなぜ助手にしたのかの真相も分かりました!

次巻は、ついに夏凪が新たな調律者《名探偵》となる巻です。シエスタの今後も気になりますが、やっと新章が始まる感じとなりますね。

気になる7巻ネタバレ前編はコチラ➡発売されたら

「探偵はもう、死んでいる。」のまとめページはコチラ

【探偵はもう死んでいる】キャラクターまとめ

主人公サイド

君塚君彦

シエスタ

夏凪渚

斎川唯

シャーロット・有坂・アンダーソン

SPES

シード

ヘル

コウモリ 

調律者

シエスタ

加瀬風靡

スカーレット

スティーブン・ブルーフィールド

リローデット

ミア・ウィットロック

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