【探偵はもう死んでいる】原作6巻ネタバレ・感想前編!君塚の過去!

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探偵はもう、死んでいる。

「たんもし」こと「探偵はもう、死んでいる。」の原作6巻のネタバレ・感想をしていきます!

5巻では、シエスタの心臓に眠るシードの《種》の成長を止めるために、長い眠りに就くことになったシエスタ。そしていつかシエスタを救うために君彦は、夏凪を調律者の《名探偵》にすることになりました。SPES編が終わった後、今後の展開はどうなるのでしょうか?

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ボリュームが多いので前編・後編の2記事でまとめています!今記事は原作6巻のネタバレ・感想のの記事です。

後編⇒原作6巻ネタバレ・感想後編!

注意

・ここからはネタバレを含むのでご注意ください!

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【探偵はもう死んでいる】6巻ネタバレ・感想、前編

では「探偵はもう、死んでいる。」の原作6巻の内容を簡単にですがネタバレしていきます!

今記事は原作6巻の前編の記事です!

後編記事はコチラ➡後日UP

7年前の君彦

小学5年生だった君塚君彦はいつも通り“巻き込まれ体質”によって、事件に巻き込まれる日々を送っていました。そのおかげでまともに学校にも行けず、友達も少なく、交番におせっかいになる日々が続きます。

また物心ついた時から家族のいなかった君彦は施設で暮らしていました。ですがそんな君彦の前にある男が身元引受人として現れます。

「――ダニー。ダニー・ブライアント」

それが君彦と《師匠》との出会いでした。

しかしダニーは親というわけではなく、生活を守ってもらうわけでもありませんでした。ただ一緒に家に住んで構わないという関係だけで、ダニー自体も外出することが多く家を留守にしていることがいいです。

「俺たちはこの家を共に拠点にするにあたって、互いのことを詮索しない」

これが唯一のルールでした。

そしてダニーが君彦を引き取った理由も君彦には話してもらえず、「悪いなぁ、大人の事情ってやつなんだ」とはぐらかされます。

そしてそこから二人の奇妙な関係が続いていきます。

ある少年の語り①

シンガポール。

君塚君彦、夏凪渚、斎川唯、シャルの4人は夏凪が新たな《名探偵》としてふさわしいかどうかの会議に参加するためにシンガポールに居ました。そしてそこへ向かう前に4人は昼食をとっている所でした。

そして4人はいつも通りバカな話を続けながら、話題は誕生日の話になります。5月5日が君彦の誕生日ということを知った斎川は、君彦にどんな「子どもの日」であることで、「どんな子供だったのか?」と君彦に尋ねます。

付き合いの長いシャルも君彦の過去のことは知らず、夏凪も君彦の過去のことには興味がありました。

「少し、長い話になるかもしれないぞ?」

そう言って、君彦は4人に自分の過去について話していきます。

ある少女の語り①

「おはようございます、シエスタ様」

ベッドに眠るシエスタに、同じ顔であるノーチェスが水の入れ替えた花瓶を窓際に置きながらシエスタに問いかけます。

ノーチェスは近くにイスに座り、シエスタを見続けます。そして以前シエスタがスティーブンを通して渡されたとある手記を手に取ります。

「他の誰にも見せないのでご容赦下さい、シエスタ様」

そうしてノーチェスは、シエスタが君彦と旅をする前の過去が記載されている手記を読み進めます。

4月24日 シエスタ

「来ましたか。コードネーム――シエスタ」

《連邦政府》の高官であるアイスドールという名の仮面を被った人物は、シエスタを部屋へ呼び出し、モニター越し話しかけてきます。

「それで?今日は一体なんの用?」

軽く挨拶を交わした後、シエスタは本題へと入ります。

「ええ。その件ですが、コードネームーーシエスタ。あなたには、日本へ行ってもらいたいのです。」

「…日本?なぜ私が?」

「《名探偵》に捕まえてほしい男がいます」

そしてモニターには、癖毛と顎髭が特徴的な三十代後半と思しき男の姿がモニターに映ります。

「――ダニー・ブライアント」

アイルドールは男の名前を言い、彼をシエスタに捕まえてほしいという依頼を出します。その男は《連邦政府》にまつわる機密情報を持ちだし、日本へと逃亡したとのことです。

アイスドールは正式な依頼というわけではなく、あくまで個人的な依頼としてシエスタに頼みます。シエスタは納得できない部分はあったもの、探偵への依頼とのことで引き受けることにしました。

「そのダニー・ブライアントという男は、一体どんな機密情報を抱えて姿を消したの?」

その問いに対して、アイスドールは何も語りませんでした。シエスタは「今は教えられない、と」と納得し、もし依頼を達成した際にその情報を聞き出そうとします。

4月24日 シエスタ 夜

次に日に日本へと出立すると決めたシエスタは、荷造りを終えた寝ようとしていました。

「戸締りには気を付けろ?夜は狼が出るぞ」

「あなたは狼じゃなくて吸血鬼でしょーースカーレット」

白いスーツを着た男がシエスタの前に現れます。

「それで、こんな夜になにか用?」

「妻のもとを夫が訪れるのに理由がいるのか?」

シエスタは1年前に《連邦会議》で会ったスカーレットに気に入れられて以来、度々ストーカーのようなことをされていました。シエスタはさりげなくスカーレットのプロポーズを断ると、スカーレットはふっと笑って一言言います。

「上の奴らに、なにか言われたみたいだな」

どうやらスカーレットの本題はここでした。

「本来《連保政府》と《調律者》は対等であり独立した組織。にもかかわらずお前に命令を下すということは、何か裏があるぞ」

スカーレットはシエスタのことを心配していたようでした。ですがは「大丈夫だよ」と返し、スカーレットは「やはり勿体ないな、手放すのは」と言ってこの場を去ろうとします。

「もう行くの?また今日も、同族を殺しに

「ああ、大義のためだ」

そして最後にスカーレットはシエスタに振り返ってこう言い残します。

「歪んだ世界の軌道が正される日は必ず来る。その時に消えるのがどちらか、せめて愛しい花嫁には見届けてほしいものだ」

4月26日 シエスタ

イギリスからの空の旅を終えたシエスタは、無事日本へと到着しました。そしてシエスタはとある知り合いに電話を掛けます。

「もしもし。今から一緒にお茶でも飲まない?」

それから一時間後――

「よくアタシの前に、平気で顔を出せたな」

「そんなつれないこと。私たちの仲じゃない」

すると赤髪の女刑事は、突然銃を抜いてシエスタに向けます。

「ああ、殺し合った仲だもんな」

「銃を抜くなら、場所を考えたほうがいいんじゃない?」

すると加瀬風靡は、不満げにも背もたれに身体を預けます。

「結局アタシの手から逃げたかと思えば、今はお前も《調律者》の一人。上は一体何を考えてんだ」

風靡は、以前《暗殺者》として、シエスタをターゲットに命を狙っていました。シードの器の可能性があるシエスタは風靡の世界の危機に繋がるシエスタをターゲットにしていました。

「――ダニー・ブライアント」

シエスタはその名前を口にすると、風靡は動きを止めます。

「お前もその面倒ごとを押し付けれたわけか」

「ということは、あなたも前に?」

「まあな、アタシは忙しいっつって途中で打ち切ったが」

風靡も以前この案件を請け負っていたようでした。

「ダニー・ブライアントについて、あなたが知っていることは?」

「日本に来たのは約3年前。そしておよそ1年前に姿を消した。私立探偵のような仕事をしていたみたいだ」

風靡に知るダニーは住居もなく自由気ままに渡り歩いて、身寄りも居なく一定の場所に留まる気配はなかったようです。なので全国各地にダニーの居た痕跡がありました。

「ダニー・ブライアントに家族はいた?」

それに対して風靡はダニーに家族はいないと否定するも、ダニーが目をかけていたある少年の話をシエスタにします。

「ダニー・ブライアントはかつてこの街で、ある問題児ち一緒に暮らしてたらしい。アタシ自身、今ではそいつにどれだけ迷惑を掛けられているか分かったもんじゃないが…ちょうどいい、お前も覚えておけ。その腹立たしいクソガキの名前は――」

4月27日 君塚君彦

君彦はいつものごとくカーチェイスに巻き込まれていました。

「ははっ、他の車が止まって見えやがる。これがゾーンってやつか?」

「逆走してる俺たちの車に驚いて止まってくれてるんだ!」

ダニーと君彦は、猛スピードで大通りを逆走していました。

数年前に君彦の前に現れた身元引受人のダニーは、月に1回程度土産を持って帰って来る謎の多き流浪人です。そんなダニーの仕事は、なんでも屋。どんな仕事でもこなすのがダニーのポリシーでした。

ダニーが何を目的として君彦を引き取ったのかについては未だ分かりませんでしたが、君彦は金を稼ぐためにたまにダニーの仕事を手伝っていました。そして今回は仕事は、闇金融業者から金をだまし取られた被害者からの依頼に応え、ダニーはその金を奪い返しましたが、現在黒塗りの車に追われている最中でした。

「いいか、ガキ。よく聞け。これからお前は、いろんな敵に会うだろう。ギャングやスパイ、胸糞悪くなるような犯罪者や、想像も出来ない巨悪にもな」

「敵って、俺の人生は一体これからどうなるんだ」

「その歳でこれだぞ?まだまだこんなカーチェイス映画なんて序ノ口だ」

それから君彦たちはなんとか窮地を脱し、ダニーの車はとある一軒家の傍に止められました。そこは依頼主の家であり、ダニーは「静かに」と君彦に告げます。

すると聞こえてくるのは、女性の怒ったような金切り声と、食器が割れる音、そして子供の泣き声です。

「家庭内不和か」

「どうする?」と君彦はダニーに尋ねようとした時、ダニーの顔は静かな怒りに満ちていました。

「子は親を選べない」

そして少し落ち着いた後、ダニーは問題を解決するために奪った金を持ち出します。

「どうだ?弁護士に見えるか?」

「万年赤字を抱える弁護士事務所の所長ならギリ通るんじゃないか」

ダニーは警察に頼るのではなく、問題を解決するには結局のところ金であると思い、奪った金を渡しに行きます。

「未来ある子供の命はすべてに優先される」

「じゃあ俺はどうなんだ?」

「はは、信頼の証と思え。お前はそう簡単に死にはしない」

そう言ってダニーは仕事へ向かいます。

4月28日 シエスタ

「うん、これは予想以上の出来だね」

シエスタは今朝届いたある物を装着して、洗面台の鏡に映った自分の顔を見て思わず感心します。

それは《発明家》によって作られた変装マスクであり、映画で使うような特殊メイクを顔に施したような顔へと変化していました。現在のシエスタの顔は、誰が見ても二十台後半の日本人女性ような顔となっています。

声もボイスチェンジャーによって変えることで完璧な変装で、仕事をこなすつもりでした。

そしてシエスタはダニー捜索のためにまず、風靡から言われた少年Kに接触を図ろうとします。

風靡からの助力は得られなかったので、シエスタは警察官の格好をして市役所を訪れ、捜査の為と断って少年Kの住所を手に入れます。そしてシエスタはそのまま少年Kが暮らしているアパートへと向かいました。

「というわけでお邪魔します」

シエスタはある特別なカギを用いて、少年Kが住むアパートへと入りますが、今日はまだ平日で学校へ行っているということで中に誰もいませんでした。

シエスタは部屋の中を物色していると、やたらと骨董品や土産物が置いてあることが気になりました。それ以外は特に目新しいものは存在しなく、シエスタはそこで切り上げます。

次にシエスタは少年Kがいる学校へと向かおうとすると、その前に派手なスーツに、スキンヘッドの若い男が話しかけてきます。

「あんた警察か⁉人が死んでいるんだよ!」

若い男は震える手で雑居ビルを手で指し、シエスタは男の案内を受ける間もなく、そのビルへと向かいます。

そして扉を開けると。。。そこには190㎝はあろう大柄な男が、左胸から血を流して倒れていました。そしてその傍らには、一人の少年が片手にナイフを持って立っていました。

「ねぇ、少年。名前は?」

「君塚君彦」

それがシエスタと君彦の出会いでした。

4月28日 シエスタ 取り調べ

一時間前、雑居ビルの一室で発生した殺人事件でナイフを持っていた君彦はシエスタが何を訊いても答えず、そのまま警察署へと連行されました。

そしてその取り調べで、シエスタは風靡に頼み込み、君彦と面談することにします。

「また会ったね、少年」

中央に机とイスが置かれただけの無機質な部屋で、変装したシエスタと君彦が向き合います。

「私の名前は、月華。白銀月華」

シエスタは君彦に偽名で自己紹介をします。

そしていつものシエスタのノリで話を少しした後、君彦に本題である「どうしてあんな場所にいたのか?」について聴きます。

しかしそれに君彦は「…さぁ」としかは答えただけでした。しかしここでシエスタは『ダニー・ブライアントという男を知っている?』と書かれたメモ書きを君彦に見せます。

その返答についてシエスタは紙を君彦に渡すと、『俺の無実を証明してくれたら、ダニーの潜伏先を教えてもいい』という返事の書かれた紙を差し出します。

それを見たシエスタは一度取調室から出ていき、また戻ってきます。

「ちょっと取り調べの時間を延長してもらいたくてね。そのお願いをしに行ってたのと、あとはこの部屋の監視カメラを一時的に止めてもらってきた」

シエスタは「これで余計な気を遣わずに君と喋ることができる」と言います。

「それじゃあ、改めて聞くよ。諸事情とは言うけど、少年はどんな理由があってあんな場所にいたの?」

「この年齢での一人暮らしだからこそ金が必要なんだ」

「少年の言うことを信じたとして。あの事務所にお金を借りに行って、それでどうなったの?」

「俺があそこに行った時にはすでに、ヤクザの男が血まみれで倒れていた」

そして君彦はその時に床に落ちていたナイフを偶然拾ってしまった所を月華に見られたと言います。

シエスタは「それは最悪だね」と言いつつ、まだ君彦を無実にする決定的な証拠は見つかっていないと判断します。

「私はダニー・ブライアントの居場所が知りたい。そして、その為には君が無実であってくれないと困るわけだ」

「もし、俺が本当は殺人犯だったら?」

「うん。その時は、君の人間としての尊厳は永久に奪われると思っていいよ」

「…月華さん。あんた、本当は何者だ?」

君彦はダニーのことを追っている月華はただの警察には見えないと思うも、シエスタはそれには答えませんでした。

そしてここで取り調べは終わります。

4月28日 シエスタ 夜

シエスタは取り調べを終えた後、現場から押収された証拠品に目を通します。そしてそこから見えてきたデータを分析していくうちに夜になりました。

夜になった後、シエスタは再び君彦に会いに行くために、一度自宅へと帰った君彦の家に再度赴きます。

「おはよう、少年」

「っ、びっくりした…」

マスターキーを使って扉を開けたシエスタは横になっている君彦に挨拶をします。

時刻は23時を過ぎています。

「それで、一体何の用だ?その様子だとまだ俺の無実が明らかになったわけじゃないんだろ?」

「うん、でもやっぱり事件っていうのは現場で解決するものだと思ってね。だから一緒にここから抜け出そう」

そうしてシエスタと君彦は児童相談所から抜け出します。

それから20分後、二人は現場へと到着します。

「それで?なぜ俺を現場に連れてきた?」

「うん、実際に改めて現場をみれば、少年もなにか気づくことがあるんじゃないかと思ってね」

そうしてシエスタは、開いていたカーテンのことに触れます。昼間も開いていたことでシエスタは計画的な犯行ではなく、突発的な犯行だったと推理します。

そしてパソコンについても触れていきます。証拠品として押収されたパソコンを調べた結果、本日スケジュールで会う予定の人はいなかったらしいです。しかしデータを復元してみると、ある一人の債務者の名前が現れてきます。しかしこの現場からはその名前だけが消えていました。

「じゃあ、そのリストから消えた債務者が犯人だと?」

シエスタはその債務者に連絡しましたが繋がらなかったと言います。しかし――

「実はね、少年はもう釈放なんだ。代わってその債務者の男に逮捕状が出た」

「…っ、明確な証拠はあるのか?」

君彦は何故か焦ったように、月華に訊きます。

「少年がそれを訊くの?せっかく冤罪が晴れようとしているのに?」

「……。」

その時――現場に数人の警察官と加瀬風靡が入ってきました。

「――おい、なにやってんだお前ら!」

風靡は文句を言い、シエスタに鋭い目線を向けます。

「じゃあ、そろそろ本題に入るとして」

シエスタは風靡も来たことで、解決編として話を進めます。

「まず前提として、私はそもそも少年が殺人を行ったとは思っていなかった。少年には、こんな大それた事件を起こす動機も見当たらないからね」

唯一物証であるナイフについても、客観的な証拠だけで、君彦は返り血も浴びてなく、190㎝あった大男をナイフで刺せたとは思えないことを話します。

「じゃあ俺が変にナイフをさえ触らなければ、端から疑われることはなかったわけか。我ながら厄介な体質だ。そのおかげで毎度こんな事件に巻き込まれる。」

「その体質のせいで、少年はこんな事件にばかり遭遇している。なのに、今回に限っては随分と迂闊だったんだね

君彦は無言のまま月華を見ます。

「少年は、こうなることを初めから分かっていて、わざとナイフを拾ったんじゃないの?」

「なんのために?」

「誰かを守るために」

しかしここで一つの疑問が残ります。

「あんたは、俺の前にこの事務所に訪れた奴が犯人だって言うんだろ?じゃあそいつと俺はどんな関係だ?殺人の罪を被るほどの親友か?家族か?それとも――」

ここで今まで黙っていた風靡が口を開きます。

「いや。真犯人は、お前とは赤の他人だ。容疑者は、この消費者金融で多額の借金を背負っていた四十代の男。名前は――」

風靡は犯人の男について語っていきます。

「ついさっき、そいつは電話で犯行を自供した。今日が返済日の予定だったが金の都合がつかず、待ってもらうように直接現場で頼み込んだが交渉は決裂。今回被害者となった男に脅しでナイフを突きつけられ、揉み合いになった結果がこれらしい」

風靡は事件の真相を語ります。

「そして事件直後、たまたま現場に来たお前がなぜかその罪を被り、容疑者は逃亡した」

つまりは君彦は今日あったばかりの赤の他人の殺人の罪を被ったことになります。

「…でもまあ、俺の役割もここまでか」

安堵したように君彦は表情を緩めます。

「もうじき娘の手術の日なんだって。難病を抱えた娘の、生きるか死ぬか瀬戸際の大手術。でも今自分がここで捕まってしまえば、二度と娘に会えなくなるかもしれない――だから頼むって。今日娘に会いに行く一日だけ見逃してくれって、そう言われた」

君彦は最後の一日だけ犯人を娘に会わせるために罪を被ろうとしていました。

「たった一日だけだとしても、どうして君がそんな危ない橋を渡る必要があったの?」

「とある男の教えなんだ。自分の届く範囲の人間ぐらいは救ってみせろってな」

こうして殺人事件の真相が明らかになりました。

4月29日 君塚君彦

その日、くたくたになって自宅に帰った君彦の前に、和室にてくつろぐ一人の男がいました。

「よぉ、遅かったなあ。お前んとこの学校は九時限授業か?」

ダニーは笑みを浮かべて君彦に問い、君彦は「いつも通り事件に巻き込まれた」と返します。ダニーはタバコを吸い、適当に軽口を叩きながら、君彦に新たな仕事の依頼を出します。

「とにかくそのリストにある電話番号に電話を掛けまくってくれ」

ダニーはくたびれたカバンの中から神の資料を取り出して君彦に渡します。君彦は掛けて何をするのかとダニーへ問うと、、、

「普通に電話してその家の子を遊びに誘うだけだ」

「意味が解らん…」

この仕事がどう金に繋がるのかわからない君彦はダニーに文句を言うも、ダニーは「世の中ってのは、そんな単純な構造でできちゃいないんだ」というだけで真意は教えてくれませんでした。

「とは言え、今の俺に金がないのは事実だ。そろそろでかい仕事の一つでもしないとな」

「金がないんだったら尚更、余計なものを買ってくるな。あの絵も幾らしたんだ?」

それはダニーが「土産だ」と言って、買ってきた作者不明の風景画でした。

「ああ、たまたま近くの路上で会った画商を名乗る若い女から買った。生活に困ってたみたいでな、言い値で買ってきた」

君彦は騙されているのではないかと疑いますが、ダニーはなんとも思っていないようです。

「それに、いつか生活にでも困ったら試しに売りに出してみろ。その絵は多分、お前を助けるぞ」

そう言いダニーはその場に寝転びます。本格的に眠り始めたダニーに、君彦は薄い毛布を掛けてやると、

「またしばらく旅に出る。留守番、頼んだぞ」

ダニーは眼を瞑ったままそう呟きます。

4月30日 シエスタ

「なるほど、じゃあ少年は晴れて無罪放免ということ」

シエスタは日本に来てから住処にしている骨董品の店内のロッキングチェアに揺られながら、電話口の風靡に話します。

一昨日、消費者金融で発生した殺人事件。容疑者として考えられた少年は、ある事情で真犯人を庇いましたが、結局は落ちていたナイフをたまたま拾っただけということになり、無罪となりました。

そうして話しているうちに、お目当ての人物がシエスタの下に尋ねてきて、シエスタは電話を切ります。

「この前とは随分と見た目が違うんだな。白銀月華」

シエスタは君彦を招き入れ、カウンターの前の椅子に座らせます。

「もう一度訊くが、あんた本当に月華か?」

「さりげなく私を『さん付け』で呼ぶの辞めてない?」

「俺の中でも色々と検討した結果、やっぱりあんたのことは呼び捨ての方がしっくり来ると思ってな」

シエスタは別に呼び捨てでも構わないと思うも、少年の距離の詰め方が独特だなと感じます。この時のシエスタは顔も特殊メイクで変装しており、身長もシークレットブーツで誤魔化しています。

「今日はあんたに借りを返しに来た」

そう言って、君彦は真四角に巻かれた布をほどき、中から複数の絵画を並べます。

「この絵は全部、ダニーが持っていたものだ」

「この美術品が、ダニー・ブライアントの居場所を示すものだと?」

「少なくとも俺はそう睨んでいる」

君彦も今ダニーがどこにいるのか分からなく、なので代わりにこの絵画を持ってきたようです。

「その口ぶりからすると、少年もあの男を捜しているということ?」

「まあな。つまり今、俺たちの利害は一致しているというわけだ」

シエスタは情報を集めるためにもう少し深く君彦に絵画について訊きます。

「ダニーが言ってたんだ。もしも自分がいなくなったら、その絵を売りに出せって。それはもしかしたら単純に絵を売って生活費の足しにでもしろという意味だったのかもしれない。…けど、俺には」

君彦は数年間に渡ってダニーと関係を築いてきたことで、この絵画の裏には何か秘密が隠されていると確信しているようでした。

そしてここからシエスタと君彦によるダニー・ブライアントの捜索が始まります。

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【探偵はもう死んでいる】原作6巻前編の感想!

以上「探偵はもう、死んでいる。」6巻のネタバレ前編でした!

今巻は君塚とシエスタが探偵と助手として出会う前の過去編です。謎の多い主人公の君塚君彦の過去にはダニーというまたさらに謎な男がいました。そしてシエスタも君彦と出会う前から出会っていたということも分かりましたね。これからどうなっていくのかはどうぞ後編をご覧ください。

後編原作6巻ネタバレ・感想後編!

たんもし解説まとめ

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【探偵はもう死んでいる】キャラクターまとめ

主人公サイド

君塚君彦

シエスタ

夏凪渚

斎川唯

シャーロット・有坂・アンダーソン